ギュル大統領「アレヴィー派の要望の実現は国家の務め」
2013年07月25日付 Zaman 紙

■デルヴィシュ・ゲンチ氏-ヤヴス・アケンギン氏、ジハン・アジャル氏、エダヌル・ウチェル氏―イスタンブル

アレヴィー・スンナ友好会のイフタールで話したギュル大統領は、社会を構成する様々な要素に触れ、全ての人に共感を促した。宗教や良心の自由を強調したギュル大統領は、「アレヴィー派、ベクタシー教団の方たちの期待を考慮することも国家の、この国の全員の義務である」と述べた。

アナトリア・アレヴィー・ベクタシー連盟によって開催されたイフタールは、企業界、政治界、芸術界を、アフル・アル・バイトの愛のもとに集めた。アブドゥッラー・ギュル大統領、ビュレント・アルンチ副首相、CHP副党首ファルク・オズトゥラク氏、MHP国会会派副代表オクタイ・ヴラル氏、ヒュセイン・アヴ二・ムトゥル・イスタンブル知事、イスタンブルのムフティーであるラフミー・ヤラン氏、アナトリア・アレヴィー・ベクタシー連盟会長ジェンギズ・ホルトオール氏、またイブラヒム・ポラト氏、ゼイネル・アビディン・エルデム氏、アドナン・ポラト氏などの企業家らと150名のアレヴィー派の協会やワクフの代表者たちが、会食のため集まった。ギュル大統領は参加者に、お互いの理解を深めるよう求めた。ジェンギズ・ホルトオール氏は「先祖たちさえもが共に眠るこのアナトリアにおいて、我々を引き離すことができるような力を持つものはいないだろう」と述べた。

イフタールでスピーチを行ったギュル大統領は、ラマダンのムードが人々を互いに礼儀、愛、尊敬について語り合うこと、また皆が互いに理解しあうことを後押ししていると述べた。イスラム世界で起きている様々な事柄に、皆と同様に悲しみを感じていると語るギュル大統領は、トルコとしてこの状況に対してさらに団結、結束を強めていく必要があると述べた。

■共感が大きければそれだけ団結につながる

ギュル大統領は、友好のイフタールの会において人々がお互いを理解するよう促した。大統領は、「お互いを理解すればするほど、また自分たちを他人に置き換えて考えてみればみるほど、共感が大きければ大きいほど、それだけこの国に団結が生まれるのです。最終的には、言葉がどこへ行きつくのかわからない時もあります。お互いに言葉を心からの敬意をもって使えば、我々の国で平和を確かなものにすることができるでしょう」と述べた。人口の多い国々においては多様性がつきものであると強調したギュル大統領は「国の社会学的構造はわれわれに異なった特色を課した。そのため、これらすべてをよく理解すること、またこれらすべてへ尊敬の念を示すことは、平和のための第一条件である」と語った。

アレヴィー派・べクタシー教団の同胞たちの期待に注意を払うことは国家の根本的な義務であると指摘したギュル大統領は、また次のようにも述べた:「現代的な民主主義において国家の最重要機能の一つは、もちろん基本的権利と自由の保障を確実にすることである。これらのうちの一つとして、信仰と宗教の自由もあげられる。信仰と宗教の自由というと、我々には現代的民主主義において、あらゆる差別を行うことなく、すべての者に平等を、すべての者に尊厳をもって、また同じ距離でそれを行う義務がある。あらゆる信仰、あらゆる違いがイスラム共同体の中にあるのと同様に、私たちの国には少なからずイスラム教徒でない同胞がいるのだ。彼らにも同じ形でアプローチすること、また平等に迎え入れて接していくことは、我々全員の最も重要な義務の一つである。偉大なイスラムの中で多種多様な宗派、解釈、理解、信仰があることもまた事実である。この枠組みの中で見たとき、我々の国におけるアレヴィー派・べクタシー教団の同胞の期待に注意を払うことも国家の義務であるといえる。この国は、我々全員がそれぞれ平等な仲間なのである。誰も、誰かに対して優位に立っているなどということはない。」

アレヴィー派とスンナ派の同胞が同じイフタールの会食の場で顔を合わせることの重要性を述べたギュル大統領は、スピーチを以下のように締めくくった:「トルコの重要な縮図と現実がこの会場の中にあります。これを見て、理解し、それによって我々がいかに行動に移せるかによって、互いの、そして国の問題を容易にすることができるのです。そのため、この会合を調整してくれた方たちに本当に敬意を示したい。このような集まり、このような結びつきはトルコ全体を幸福にするだろう。」

■イフタールに150のアレヴィー派協会が参加

アブドゥッラー・ギュル大統領の名の下に開かれた2回目のアレヴィー・スンナ派友好イフタールにも多くの人が参加した。「アナトリアのアレヴィー派とスンナ派の心に息づくアフル・アル・バイトの愛」というコンセプトのもとに催されたイフタールには、アナトリア・アレヴィー・ベクタシー連盟会長ジェンギズ・ホルトオール氏、アナトリア・ハジュ・ベクタシー協会会長イルファン・チェキンカヤ氏、ハジュ・ベクタシー・ヴェリ協会会長ディンチェル・チュルクメン氏、ババ・マンスル協会からアレヴィーのデデであるデルヴィシュ・トゥル氏、また企業家であるイブラヒム・ポラト氏、ゼイネル・アビディン・エルデム氏、アドナン・ポラト氏などと共に何百人ものアレヴィー派、スンナ派の招待客が参加した。各々コメントをしたアレヴィー派の代表者たちは、第三ボスフォラス大橋にヤウズ・スルタン・セリムの代わりにユヌス・エムレの名を付けることを提案した。

■メニューには何が?

約150のアレヴィー系団体の代表者たちが参加し、「アナトリアのアレヴィー派とスンナ派の心に息づくアフル・アル・バイトの愛」というスローガンをもってとり行われたアレヴィー・スンナ友好イフタール会食会では、メニューとして、イフタール特別プレート、エゾゲリン・スープ(花嫁のスープ)、じゃがいもとほうれん草のボレキ、ナスと子羊のすね肉のケバブ、チーズ入りケシケキ、家庭料理風ギュラチ、そして手作りケスメ・ドンドゥルマがふるまわれた。

■それぞれのコメント:芸術家の人々

芸術家ハムディ・アルカン氏:「イフタールはサフル(断食前の食事)とともにラマダンで最も大切なものです。今回は特にアレヴィー派を信仰する同胞と集まれたことが、いっそう素晴らしかったです。社会の中にあるプロセスからみても、重要なことは、同じ食卓につくことです。すべてが異なっているかもしれない。考え、感覚、信仰…。しかし重要なのは志が一つであるということです。この、また同じようなイフタールが社会にとっての好機となりますよう。尽力してくれた方々に感謝しています。」

元ガラタサライサッカー選手アリフ・エルデム氏:「生まれてからこのかた、アレヴィー派とスンナ派の兄弟たちと共に、友好的なあらゆる環境において、またあらゆる場で一堂に会する幸せの中にいます。私からすれば、これはこれからも、これまでと同様続いていくでしょう。これを批判したければすればよいのです、アレヴィーの仲間たちもスンナ派の同胞たちも決してこのようなことに騙されることはないし、この友好関係、協力関係が永遠に続くと考えています。今晩は素晴らしいイフタールがしつらえられています。このイフタールで我々が共に実りを得られますように。」

アジダ・ペッカン氏:「素晴らしいイフタールの食事でした。あらゆる業界から特別な人々がここに集まりました。ここにいられたこと、ここの空気を一緒に味わえたことでとても満足しています。これから我々のトルコにとって素晴らしいことが起こりますよう。私たちもこのような形で集まり、その友好を全世界に示しましょう。」

芸術家ベルダン・マルディニ氏:「特に、今の時代のトルコにおいて、このような形の催しは必要です。これらの催しに親愛なる大統領、また政治家、企業家たちが参加することはさらに重要です。私たちを一つにする唯一の要素は、イスラム教徒であるということなのです。我々はこの価値を理解し、同胞に伝えていくべきです。」

■政治と経済界から

企業家ジェム・ボイネル氏:「とても幸せです。よく企画してくれたものです。この一つの手本となる会食が継続されるよう願っています。開催に尽力してくれた方々に感謝しています。」

シシュリ区長ムスタファ・サルギュル氏:「ラマダンは、私たちのムハッレム月、ラマザン月でもあり、とても重要な月です。たくさん挨拶を交わし、誰をも傷つけない必要があ ります。今月は皆が団結しなければいけないのです。今日はラマザン月であり、我々にとってはムハッレム月でもあります。このような催しで集まることはトルコが発展するため、強くなるためにとても重要なことなのです。」

■戦争やテロの代償を国民が払うことはない

トゥンジェリ大学学長ドゥルムシュ・ボズトゥ教授:「我々の国で暮らしている人々の中で、母語の違い、出身民族の違い、宗派の違いが存在しています。しかし、これらは分裂ではなく、我々の文化に豊かさをもたらしているのです。スンナ派とイスラムのすべての同胞たちが一つのテーブルを囲って集まることは、共通の生活文化と意識にとって重要な歩みです。2013年3月21日にディヤルバクル広場において国会議員たちがオジャランのメッセージを読んだ瞬間から、トルコは変わったのです。人々はもはや平和を懐かしみ、切望している。戦争、地雷、衝突、テロ、爆弾の代償を国民が払うことはない。」

ファティフ大学シェリフ・アリ・テカラン学長:「このような形のイフタールは我々の文化の一部として、また連帯のためにとても大切です。異なった考え、ま た傾向をもった人々が集まるうえでも大切です。アレヴィー派の同胞たちとラマダンでイフタールを行うこと、ムハッレム月の断食において同じテーブ ルにつくことは我々にとって価値あることの一つといえるでしょう」

CHP副党首ファイク・オズトゥラク氏:「貴重なイフタールでした。アナトリアの豪華なイフタールがこの会場にて実現され、素晴らしい形で開催されました。みなさんに感謝しています。トルコが置かれている状況からみても大きな重要性をもつこのイフタールがが、今後も続けられることは有益なことだとおもっています。このイフタールは動揺をもたらしたのではない、アナトリアに存在する文化を公の場に示したのです。このイフタールはトルコにおいて、誰もが、また誰をも排除できないということを示したのです。」

MHP国会会派副代表オクタイ・ヴラル氏:「党首とともに参加しました。MHPを代表して、この素晴らしい会に参加することができました。イフタールの会食は理解のための会食です。共通の価値観は、それぞれの価値観を共有することで理解することができます。イフタールの食事は神の恵みを感謝する場なのです。我々も、この友好に感謝しなければいけないのです。」

■アレヴィー系協会の人々

ハジュ・べクタシー・ヴェリ文化紹介協会会長ディンチェル・チュルクメン氏:「与えられた友好のメッセージは、我々の国にとって重要です。このイフタールの食事に、去年も参加しました。このような催しにおいて得られたメッセージは国における友好のためにとても重要なのです。国家の大統領が、この催しに参加することは国民の団結という視点からいっても非常に重要な意味を持ちます。我々はこのような催しの存続を望んでいます。」

ドイツ在住のアレヴィー派指導者、セイト・デルヴィシュ・トゥル氏:「私たちはアレヴィー派として、国土の一部を手に入れようという目的など持っていないのです。この国の分裂にいつも反対しています。このような分裂をアレヴィー派は絶対に受け入れません。我々は異なる国土、異なる国旗を望んではいないのです。我々は単に我々の信仰を実行すること、またこれを行うときも我々の権利が与えられることを望んでいるだけなのです。あるモスクに与えられている権利と同じ権利が礼拝所でも与えられますように。望んでいることは、ただそれだけなのです。」

イズミル出身アレヴィー指導者ジェマル・セヴィン:「このようにイフタールで集まることはアレヴィー派とスンナ派の友好にとってとても重要な意味をもちます。最近、アレヴィー派とスンナ派の仲を裂こうとする人々がいます。我々はアレヴィー派としてこのような水をさす行動を決して許しません。このような者たちに耳を貸すこともありません。」

エスキシェヒル・ハジュ・べクタシー・ヴェリ・アナトリア文化財団会長イルファン・チェティンカヤ氏:「団結と結束のため、この会を組織してくれた方々へ感謝しなければなりません。例を挙げる必要があるなら、近隣にシリアとイラクがありますが、彼らのことを念頭に置けば、我々も自分たちの問題を整理することができるでしょう。」



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:桑迫静香 )
( 記事ID:30953 )