トプカプ宮殿写本惨状報道に、識者の声
2013年07月31日付 Zaman 紙

おととい本紙が報道した「トプカプ宮殿所蔵写本の悲惨な状況」と題した記事に大きな反響があった。

研究者、歴史家、知識人、市民は、貴重な写本の有様に悲嘆の声を寄せた。本紙記事はトプカプ宮殿博物館の問題点は写本の汚損だけではないということも 取り上げた。本紙が歴史家らに写本の写真や文書館の状況の評価を依頼したところ、彼らは別の重要な問題も指摘したのだ。歴史家らは宮殿の文書館の状況は何年も放置されてきたものだとし、新たな執行部が文書を整理し写本をデジタル化し一刻も早く研究者に公開する必要があると述べている。彼らによれば、文書館をして、その現状が公にされるべきであり、職員の数を増やした上で価値ある財産を一刻も早く公益のために供するべきだという。

フェリドゥン・エメジェン教授(歴史家)

■文書館の状況は昔から知られていた
「トプカプ宮殿の文書館が適切な状況でないことは、そもそもずっと前から知られていた問題だ。文書がより良く保存されるために少し慎重に配慮する必要がある。文書館で働く人々は文書を慎重に扱っているが、保管条件が適切でなく、このことは彼らの上に立つ国に関わる問題だ。国は意思を明確にして文書館の資料の調査をすべきだ。首相府オスマン文書館には優れた修復専門家のグループがある。彼らはトプカプ宮殿の資料の状況がどうなのかすぐに理解するだろう。しか しながらトプカプ宮殿の資料を首相府オスマン文書館に移すということには賛成できない。キャウトハーネに越した文書館には良い建屋が作られ ていない、というのが個人的な考えだ。残念ながら双方を管理する国は、文書館を管理・保護するという問題を解決できていない。」

ビュレント・アル(トルコ大国民議会博物館・広報局)

■資料にたどり着けない
「我々はトプカプ宮殿の文書館を利用するには程遠い。私は外交史を研究しており、資料のほとんどがトプカプ宮殿の文書館にあるが、そこから資料を得るのはあ んなにも難しいのだから!それほど困難であり、最後にはふざけるなと言いつつ諦めてしまう。この状況に解決策が立てられるべきだ。あそこの資料や本はあの組織のものではなく国民の資産だ。この感覚はもはや変わるべきだ。国は最近素晴らしいことをした。全ての写本を一定の地域ごとに集めている。イスタンブル、アンカラ、コンヤ、ブルサで写本図書館を開館した。地域の全作品がこれらの図書館へ集められる。そこでは、保存、空調などはより適切だ。トプカプ宮殿の資料はスレイマニイェ写本図書館に集められそこでデジタル化される必要があるが、トプカプの組織自身の執着により集められていない。イルベル・オルタイルはトプカプ 宮殿で7年館長を務めた。この事態は全て彼の責任だ。問題の重要性を知りながら務めを果たさなかった。例えば我々は組織としてドルマバフチェ宮殿にあったオスマン 朝の資料を首相府オスマン朝文書館に移管した。16万の冊子をデジタル化している。ほっとした。資料はあそこでいい状態で保存され、もっと多くの人に利用されるのだ。」

テイフル・エルドアン(歴史家)

■ごますりしなければ本を渡さない
「皆さんはトプカプ宮殿の図書館で働く人々がどんな人達なのか知らないでしょう…。あなたが彼らにへつらわなければ彼らはあなたに本を見せてくれない。 自分の力を誇示するため本を見せず、ないことにして、『見つからない』とか『破損している』などと言い、渡さないのです。あそこには硬直化した構造がある。約30年間か40年間、この構造は変わらず続いている。この文書館や図書館で働く人々は同時に研究者や歴史家を志す人々だ。ハリル・イナルジュク教授が我々に話した原則がある。『文書館または図書館の職員自身は研究者や歴史家であるべきではない。なぜなら嫉妬心が芽生えるからだ。資料や重要な本を隠し自分用に確保する傾向がある』というものだ。トプカプでは何年もこんな状況だ。同じことが考古学博物館でも起きている。執行部側の館長が硬直化したこの役人たちと問題を解決するのは簡単なことではない。この状況を踏まえ、この危機的状況を解決するために新しい執行部がやるべきことは専門職員の増員だ。これが実現したとしても、事態の遅々たる進展は歴史家たちにとって満足のいくものではない。我々は歴史家としてより迅速な解決を新しい執行部に期待している。しかし基本的な責任は、長い間トプカプ宮殿で指導的立場にいながら、この問題に真剣に取り組まなかった旧執行部にある。それどころか運営の危機やオスマン文書館と問題解決のため打たれた措置が逆戻りとなる要因となった。」

エルハン・アフィヨンジュ准教授(歴史家)

■トプカプ宮殿には慢性化した問題がある
「トプカプ宮殿の図書館と文書館にはもう何年も研究者が直面している問題がある。図書館は引っ越したが、文書館にはまた違った問題があった。以前から慢性化 している諸問題が新しい執行部によって解決されると信じている。写本図書館は非常に長い間閉館されていた。いつ閉館されたのかも思い出せない。今開館されようとしているのは重要なことだ。文化省は技能のある職員を送る必要がある。現在の職員がトプカプ宮殿館長ハルック・ドゥルスンに抵抗していることも問題だ。」



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:小野里ゆみ )
( 記事ID:31033 )