AKPとCHP、新憲法「クルド関係」条項で内部対立
2013年09月23日付 Radikal 紙


新憲法(の条項作成)を複雑化させている「母語での教育」、「公用語」、「市民権」の問題には、公正発展党(AKP)も共和人民党(CHP)も党内分裂の原因となっている。

クルド問題の解決で注目される新憲法(条項作成)作業において対立している「母語での教育」、「市民権」、「公用語」に関する項目は、憲法調整委員会だけではなく、公正発展党(AKP)と共和人民党(CHP)の内部にも不和を生みだしている。民族主義者行動党(MHP)と平和民主党(BDP)に所属する議員は、これらの問題で党内での全員のコンセンサスがとれている。これに対し、AKPとCHP所属の国会議員はクルド問題に関連する問題で、意見が一致していない。時々、CHPではかつてのように、これらの問題でかなり厳しい議論が(党内部で)起きている。

■最初の亀裂:公用語

トルコ大国民議会(TBMM)憲法調整委員会における最大の不一致は、「公用語」についてであった。だが、この不一致は同委員会の議場でのみ起きたのではなかった。AKPの(憲法)草案では、「公用語はトルコ語である」と表記していたにも関わらず、AKP委員会メンバーのアフメト・イイマヤ議員がCHP とMHPとともに「国家の言語はトルコ語である」との表現で合意したことは、一瞬にして、論争を生み出すことになった。AKP指導部と他の委員会のメンバーからこの発言を修正することを求める異議が申し立てられた。この反発に関しその後、イイマヤ議員は、「草案にあった表現に戻します。この発言は私の個人的なものでした」と語り、議事録に載せるよう求めた。イイマヤ議員の異議は、AKP(党員間)の見解の違いを公けにした。

■2番目の亀裂:母語

二つ目の亀裂は、母語での教育に関してであった。「教育の権利と自由(フリーダム)」の項目に関する審議の間、「母語での教育と学習」が議題となった。AKPは草案ではこの問題に触れず、母語教育問題は、憲法ではなく法整備で対処することを強調した。CHPは「教育言語はトルコ語である」との表現を入れることを求めた。BDPはこの項目と関連して起きている閉塞状況を打破するために、「第1項でトルコ語の義務教育の継続、第2項で母語での教育の保障」とする提案をおこなった。この提案に対し、CHP所属の議員の一部が強く反対し、問題は党指導部に戻された。CHPが準備した草案を改定しようとする意見が出た。しかし、これに対しCHP所属のスヘイル・バトゥム議員から厳しい異議を申し立てた。CHPはバトゥム議員の異議申し立てにも関わらず、提案を、「教育言語はトルコ語である。母語がトルコ語でない学生は、義務教育としてトルコ語とともに、自分の言語を学び、使える権利を認める。国家はこの権 利が効果的な形で行使されるために必要な対策を講じる」と変更することを明らかにした。

■3番目の亀裂:市民権

最後に、政党間の見解の違いが、「市民権」と関連する項目の審議中に露呈した。CHPに所属するルザ・トゥルメン議員とアティラ・カルト議員は、「トルコ共和国の国民」との表現を使って、「中立の市民権」という定義で一致させることを支持した。しかし、これに対し、CHP所属のバトゥム議員から異議が出された。バトゥム議員は、党の見解では「トルコ国民」との表現となっていると語った。論争の後、この項目も棚上げにされた。

■中立の市民権

この3つの項目についての分裂は委員会内だけに限定されなかった。AKPとCHPの党内部も国会議員の見解は異なっている。AKPでの小競り合いは、より多く母語での教育を焦点として起きている。AKPも「中立の市民権」に関連する見解の違いが今の所ない。AKP所属でディヤルバクル選出のガリプ・エンサリオール議員は、「市民権」の定義ではいかなるエスニックグループも強調しない必要性があると指摘し、「今後の定義で7600万人を包摂する必要がある」と語り、「中立の市民権」の定義を支持している。エンサリオール議員は、母語教育の必要性も支持し、以下のように評価した。「これはクルド問題の最終関門です。もっとも重要な試金石となります。クルド人の共通の要求となっています。これが達成できない限り、問題は続きます」。同議員は、AKP内もトルコ全体でも、母語(教育)は権利であるという点で合意がないことを指摘し、「私たちの仕事は説得であり、政治とはそれをすることです、そもそも」と話した。

エンサリオール議員のこの発言に対し、トルコ大国民会議憲法委員会のAKP所属のブルハン・クズ委員長は、「母語での教育」に関し警告をおこなった。クズ議員は、「母語での教育(の実現)は難しい」と語り、「付与された際にクルド人のみならず、多数の人間が恩恵を受けられるであろう。すべての言語で初等教育、中等教育、リセ、大学など。政府はこれらをおこなうことはできない。恐らく私立の学校では行えるかもしれない。すでに、学校では、母 語が教えられている。将来の新法案で見込まれるように、政府諸機関でそのような言語を理解する人が配属されるよう整備する。しかし、母語での教育が生み出すものは予想したとおりにならないかもしれない。この欠点はベルギーで示されている。ベルギーは分裂の危機にさらされている。その理由は言語であると思う」との見解を示した。

(以下、略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:31506 )