精神病患者の治療費は狂気の沙汰:2週間の入院で400〜500万トマーンなり
2013年10月26日付 Jam-e Jam 紙
【社会部:アミーン・ジャラールヴァンド】今やイラン国民の5人に1人が精神障害を患っている。これは保健省が発表した統計データであるが、もちろんこの中には不安症や鬱といった軽度の精神疾患も含まれている。しかし〔精神障害を患っている〕この20%のうち、約1%は重度の精神疾患に苦しんでいる市民で、その多くが入院治療を必要としている。
イラン医科大学学術委員会の委員を務めるカーゼム・マラクーティー氏はこう語る。「精神病患者の一日の入院治療費の平均は、180万トマーン〔※約6万円〕ですが、一年間に掛かる訪問治療の費用は140万トマーン〔約4万7千円〕で、1回の入院費にもなりません」。
この専門家によると、推定では〔精神疾患を患っている人のうち〕重度の精神病を患っている人は3〜5%で、これらの患者は年に1度の入院治療が必要とされるという。
ここで重度の精神病に苦しむ患者が、年に2週間入院をすると仮定してみよう。簡単な計算でも、その患者の家族は患者を一時的に治療するために、数百万トマーンもの費用負担を強いられることが分かるだろう。
この問題で最悪なのは、精神病治療の多くのサービスが保険の適用外で、国の医療制度も精神病患者たちへの支援を看過しているということである。
テヘランにある、精神疾患専門の某民間病院の看護師長はジャーメ・ジャム紙にこう語る。「民間病院での精神病患者の2週間の入院治療には、400万〜500万トマーン〔※約13万円〜17万円〕の費用がかかります。この間、患者には投薬治療や医師の診療、病院での継続的な入院などの医療サービスが提供されます」。
この人物は公立病院での治療費にも言及し、次のように言っている。「確かに公立病院では、精神病患者らは入院保険(国民保険)を利用することができ、その費用も30万トマーン〔※約1万円〕にまで費用を抑えることができます。しかし問題なのは、公立病院では空きベッドの確保が難しく、またサービスの質も民間病院とは比べものにならないということです。そのため、緊急に治療の必要がある精神病患者たちの多くは、民間病院を選ぶことを余儀なくされているのです」。
■ 精神病棟のベット数、全国では5000床が不足
テヘラン大学学術委員会のメンバーで、イラン精神科医協会学術会議で学術書記を務めるアリーアクバル・ネジャーティーサファー博士も、国内の精神病棟でベッド数が不足していることを認め、ジャーメ・ジャム紙とのインタビューで「現在、精神病患者の需要に応えるためには、我が国では患者用のベッドがさらに最低でも5千床が必要です。そして患者の多くは貧困層に属しているのです」と指摘している。
精神病患者の多くが病床数の不足に直面しているにもかかわらず、麻薬対策本部の統計によると、今ある精神病患者向けの病床の半分を占拠しているのは、覚せい剤など向精神薬の中毒者たちだという。このこともまた、中毒者以外の患者のために空き病床を確保することを、より困難にしているのである。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:8409154 )
( 記事ID:31896 )