アラーク研究用重水炉への懸念は現実のものか、それとも口実か(上)
2013年11月17日付 Mardomsalari 紙

【ハサン・ベヘシュティープール】今読者の目の前にある本稿は、果たしてアラーク発電所は西洋諸国の心配の種になるべき存在なのかという、シンプルではあるが重要な問いに答えることを目的としたものである。アラーク発電所はテヘランから南西に290キロの位置のアラーク市内にあり、国際原子力機関(IAEA)の監視下で活動している、17ヵ所あるイラン核施設の一つである。この発電所は、二つの主要部分からなっている。

A:アラーク研究用重水炉

 世界中にある同様の炉と同様に、テヘラン研究炉も使用年数を重ね、同炉のさまざまな設備・システムは老朽化している。このことから、イランはその代替施設の建設を計画している。それに加え、イランは医療・診断に使うさまざまな医療放射線や、産業・研究用のさまざまな放射性同位体を日増しに必要とするようになっている。イランはこの種の放射性同位体を海外から確保・調達するのにも、さまざまな制約に直面していることから、イラン原子力庁はテヘラン研究炉に代わる新しい研究炉を建設することを決定したのである。

 こうして、重水を利用する、出力40メガワットのアラーク研究炉IR40が設計された。このプロジェクトの基礎部分は2002年に完了し、2004年からその建設作業が始まった。

 IAEA理事会に提出された最新の天野報告の第35項には、この施設の稼働がいつになるのかについて、次のように述べられている。「2013年8月25日付の書簡で、イランはIAEAに、IR40炉の建設作業の現実の進捗度から、以前にその稼働日として表明していた日付〔までに作業を終えること〕は不可能であり、よって同炉の稼働は2014年の第一四半期とはならないだろうと通知した」。

 この炉の建設は、恐らく2014年の秋に終了し、2015年の初頭に最終的な運用が始まる見通しだ。天野〔IAEA事務局長〕はその最新の報告書の中で、イランが10セット(assembly)の燃料を製造し、それらをすべて燃料製造工場に保管してあることを、2013年8月17日に確認した〔と述べている〕。IAEA理事会に提出したこの天野報告書の第47項には、次のようにある。

2013年8月17日及び18日、IAEAは燃料製造工場にて、査察とデザイン情報の検証を実施し、天然のUO2(二酸化ウラン)を用いたIR40炉用の燃料ペレットが継続的に生産されていることを確認した。上記第34項で述べたように、前回のIAEA事務局長報告の時から、イランはIR40炉用の核物質を含んだ燃料セットの製造を開始している。

B:アラーク重水製造施設

 アラーク重水製造施設は1385年シャフリーヴァル月4日〔=2006年8月26日〕にオープンした。アーガーザーデ・イラン原子力庁長官(当時)が述べたところによると、この施設の生産能力は当初8トンだったが、オープン時には濃度99.8%の重水16トンを生産できるまでになっていた。

 アラーク重水製造施設を建設するプロジェクトは、核技術の目玉の一つとして、医学、特にガンやエイズの抑制に決定的な役割を果たしており、重水炉の減速材および冷却剤として利用される。この産業プラントが稼働したことで、イランは重水製造設備を有する、世界で9番目の国となった。アルゼンチン、カナダ、インド、ノルウェーなどが世界最大の重水輸出国に名を連ねている。

なぜ西洋諸国はアラーク・プロジェクトを懸念しているのか

 イランはこれまで何度も、研究用重水炉の建設プロジェクトの目的は、ガンをはじめとする各種の難病を治療する医薬品の製造であるということを表明してきた。〔国内では〕一年間に約85万人がこれを必要としている。また放射性同位体は産業用・農業用にも生産される。

 ところが西洋のニュースソースはいつも、イランが核のゴミを再処理し、プルトニウムを分離する可能性があると主張している〔※核爆弾に用いられるプルトニウム239は、重水を減速材に利用した重水炉内で、未濃縮のウラン238に中性子を照射することで作ることができる。その際、プルトニウムをウラン(核のゴミ)から分離する必要がある〕。彼らはこの物質〔=プルトニウム〕が8キログラムあれば、ミサイル1基に取り付け、核弾頭を製造するのに十分だと言っている。西洋のマス・メディアはプロパガンダによって、アラーク施設は年に1~2発の爆弾を製造するのに十分な量のプルトニウムを製造するために、2016年終わりから活用されるだろうと主張している。

 こうした日付を特定するやり方は、1992年からこれまで、何十回もその信憑性のなさを証明してきた。それはなぜか。簡単なことだ。その理由はただ一つ、〔○○年に××が行われるだろうという予言が〕現実のものとなった試しは一度もないからだ。

つづく




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:32059 )