ジュネーブ合意の中身が実行に移されるのに伴い、イランの海運活動に対するさまざまな制裁は解除されることになっている。また、この合意文書ではアメリカ、EU、ならびに国連安保理はイランに対して新たな制裁を科すことはできないことが強調されている。それにもかかわらず、EUは新たにイラン企業17社を制裁リストに追加するという行動に出た。
確かにEU議会は公式サイトに掲載された声明の中で、海運関連企業16社と別のもう1社が制裁リストに追加された根拠は、2012年3月23日に採られた決定にあると指摘している。しかしEUに善意があるのなら、イランと5+1グループがジュネーブ合意の履行に向けて準備を進めている状況下でのこうした制裁の新たな履行は、避けることもできたはずである。
こうしたことから、イラン外務省次官は今回のEUの措置を批判し、次のように述べている。「過去の制裁を実行に移すことは、新たな合意文書に反するものではないが、しかし現在ジュネーブ合意の履行に向けて準備を進めていることを考えるならば、ヨーロッパによる今回の新たな措置は協力と善意の精神に反するものと言えるだろう」。
セイエド・アッバース・アラーグチー次官はメフル通信とのインタビューの中で、さらに「新たな合意には、過去の多くの制裁〔の解除に関する条項〕は含まれておらず、またもちろん、今回の合意が実行段階にあるわけでもない」と付け加えた。
キャサリン・アシュトン〔EU外交担当上級代表〕の報道官を務めるマイケル・マン氏はこれより前、「対イラン制裁の一部を縮小ないし解除するとのEUの約束が実行に移されるのはいつのことか」との質問に答える中で、「現段階では、この問題に関する最初の決定がいつ採られるのか、言うことはできない。しかし12月か1月になる可能性がある」と述べていた。
同氏はさらに、「EUの実務者らは制裁法の修正原案を用意する必要があり、その上でEU諸国の外相らによって承認されることになるだろう」とも述べた。
今回新たにEUの制裁リストに加えられたのは、イラン原子力発電所建設マネジメント社と、イランの海運企業16社である。
なお、EU理事会は「イラン・トランスフォ社」、「アジア石油ターボ・コンプレッサー社」、及び「ターボポンプ・コンプレッサー製作社(SATEK)」の3社に対する制裁を解除した。これらの企業に対する制裁理由は、これらが「イスラーム共和国海運社」の関連企業、協力企業、ないし所有企業であるためとのことである。
他方、シオニスト体制の関係者らが、今後の5+1協議への代表派遣について、オバマと話し合いを行っているとの噂が一部で流れている。これに対し、イラン外相は「こうしたことが実現されることは断じてないだろう。われわれがシオニスト体制〔の関係者〕と部屋をともにするようなことはない」と述べた。
イラン国営放送報道センターが伝えたところによると、ウラマーやマルジャエ・タグリード(シーア派最高権威)らと面会するためにゴムを訪れたモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相は、この訪問の傍らで報道陣に対し、シオニスト体制は地域ならびに世界にとって最大の危険要素だとの認識を示した上で、「西洋諸国は、イランに圧力を加える代わりに、大量破壊兵器のない地域の実現に向けて歩みを進めるためにも、地域にとって最大の危険要素となっているシオニスト体制を武装解除させるべきだと確信している」と語った。
イラン外相はさらに、「シオニスト体制は各種の化学兵器や核兵器を保有しており、地域の安全と平和を阻害していると考えられる。これらの兵器は域内諸国に安全をもたらさないだけでなく、むしろ地域の危機を激化させている」と指摘した。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
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