シリア・イラン:二つの合意に対するアラブ人の怒りと恐怖
2013年12月14日付 al-Hayat 紙
シリアにおける欧米の失敗はアラブの怒りを招く(ロイター)
シリアにおける欧米の失敗はアラブの怒りを招く(ロイター)

■アラブは国際的・地域的合意の調停の蚊帳の外

【ファウズィー・ザイダーン】

シリアの化学兵器問題に関する米ロ間の合意について、アラブ人は憤りを見せた。同合意は、シリアの危機に対するアプローチおよびそれに対する公正な解決策の検討を欠いたまま、シリア化学兵器の除去と破壊について合意したのだ。アラブの怒りは、(アサド)政権がこれらの兵器を市民に対して使用し、その結果何百人もの市民の命、とりわけ子供たちの命が奪われたというその罪を、同政権が清算するということに触れていない点に帰結した。さらに、その怒りの矛先は、この合意が合意項目の履行のためにバッシャール・アサド大統領を権力内に留めたことに向けられ、そして、日々続く砲撃のせいでシリア人たちの苦しみが増し、彼らが戦闘機の空爆や戦車からの砲撃、そして銃やミサイルにさらされていることをこの合意が無視していることに向けられている。そして、その結果、殺戮・亡命・破壊が生じるのであり、これはアサド大統領に自身の暴力行為の追求を合図するようなものだと考えられている。

怒りに満ちたアラブ人たちは、この合意は、イスラエルが恐れていた兵器(シリアの化学兵器)について同国を安心させるためのものだと見なした。アラブ人は同合意について、これはアサド政権が国民に対して尊厳または危惧もなく使用する他の破壊兵器に関しては(触れることがなく)、シリア人を安心させるものではない、それどころか彼らに対しては自分たちでその過酷な運命に立ち向かえと突き放したようなものだと見なした。

また、大国とイランの間で結ばれた、イランの核問題をめぐる最近の合意に対して、アラブ人は合意決定のあいまいさに恐怖を抱いている。アラブ人は、合意締結前にマスカットで行われているアメリカ側とイラン側の間の交渉は、両者の間の内密の取引または合意に結びついたのかもしれないと恐れ、それにより、イランの影響力および中東地域での役割は強化されるかもしれないという恐怖を抱いている。さらにそれは、湾岸諸国の利益に反し、イラク、シリア、レバノンをイランの影響下にとどめる結果になるのではと懸念している。ゆえに、アラブ人は、イランの影響力に資するスローガンの下、同国が革命の輸出や暴動・混乱の扇動の元凶になることなく、その役割がアラブ地域の安定化要因になることを切に願っている。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:32286 )