■アブー・ファウール社会問題相、火傷を負った四人のシリアの子供達を国費で治療するよう求める

【国営通信】

テント内でストーブの点火に失敗して大やけどを負った子供達4人や霜除けのベッド・シーツをかぶせたテントの中にいる体が不自由な病人の男性。昨日、それらのシリア難民たちが暮らすマルジュ・ベカー地方のラジャブ・キャンプをワーエル・アブー・ファウール社会問題相が同省職員を同行して訪問したことが、難民救助につながり、彼らはその求めに応じて即ちに病院へ搬送された。大臣はそこへ行く前にマルジュにある社会事業センターを訪れ、シリア難民達からストーブが不足しているとの訴えを聞いた。大臣は国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）の物資部門責任者に直接電話して協議し、物資倉庫を開けて難民の必要とするストーブ150台を運び出して配布するよう手配した。

アブー・ファウール社会問題相は、これらの現状視察ののちミシェル・スライマーン共和国大統領に連絡を取り、「子供達が重度の火傷を負ってテントの中に投げ出されており、彼らが痛みで泣き叫んでも誰も何もしてやれない状態にある」と伝えた。大統領は、首相ならびに保健相と連絡しながらことを進めるという条件のもと「この困難な状況を早急に変えるためレバノン国費で彼らに病院治療を受けさせる」ことに同意した。

アブー・ファウール社会問題相は、難民キャンプで見てきた事柄に関して「このような遺憾な事例はレバノン諸地域に多く存在する」と述べ、さらに次のように続けた。「端的に言って、事態は悲劇的の域を超えて、屈辱的でショッキングであり、いつまでも続くことなどありえない惨状を呈している。残念なことは、バッシャール・アサド（シリア大統領）がなしえなかったことを我々が行っているということだ。第一、『国際社会』なるものは、全くの虚言である。というのは今日、こちらやあちらの難民キャンプに専従で動いているのは我々であり、国際諸組織のレスキュー隊員の姿などどこにも存在しないのだ。自らが救済のためのマネーを背負っていながら（難民救済事業に従事する）レバノン政府にそれを注ぎ込むのを禁じている「国際諸組織」の存在はどこにあるのだろうか？我々レバノンが置かれている今日の事態をもたらした決定要因たる者（シリア国家権力のこと：訳者）を、神はお許しにはなるまい。だが勿論、レバノン国家──レバノン政府とその国民たる我々──もそれ相応の（アラブ同胞を救済する）責任を負っており、我々は遅ればせながら難民キャンプを構築するにいたった。我々は過去2年半の間、泣き叫び、訴え、助けを求め、難民キャンプ設立の必要性を唱えてきた。しかしその件は検討されるたびに拒絶されて、我々は屈辱的事態に行きつき、そして最大の破局的危機がもちあがったのだ。私はシリア人民がいつの日か、レバノン国家と国際社会に対して寛容の態度を示すように願っている」。

また社会問題相はある質問に答えて、「我々はレバノン全土に無計画に建てられた431の難民キャンプ──297はベカーにある──で暮らす10万のシリア難民のことを言っているのだが、もしシリア難民キャンプの建設がレバノン軍や信頼出来るいくつかの国際組織の手に任されていたならば、我々は現在のような立場には至っていなかっただろう」と述べた。さらに同氏は「シリア難民のために整備されたキャンプを建設するためには、政治的決定が必要である」ことを示唆しながら、「政治的内部抗争に加わってある党派に属しているとみなされたならば、我々はシリア難民キャンプ建設を要求することで、シリア人をレバノンに帰化させて（宗派間の微妙な均衡の上に立つ宗派国家という）レバノン国家の性格を変えようと企んでいるとの非難を浴びることになる。だから私は、政治的決定を行うことには反対だ」と述べた。

ところで社会問題相は、アルサルには難民キャンプはないが、「カラムーン、ナベック、ヤブルードの三地域からの難民を受け入れるセンターを建設した」ことを明らかにした。社会問題相には、正式の難民キャンプの建設を許可する権限はなく、より上位の権力による建設許可が必要である。だがレバノン共和国大統領や首相による正式の難民キャンプ建設許可が追いつかず、（非正規の）難民キャンプが次々と誕生していく状況がある。

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本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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（ 翻訳者:木戸　皓平 ）
（ 記事ID:32296 )