エルドアン首相、記者団と会合、「12月17日捜査とその後」を語る
2014年01月05日付 Milliyet 紙

新聞社関係者や市民団体代表と会見したエルドアン首相は、12月17日捜査、ギュレン教団との対立、(軍関係者の)再審問題について、語った。以下は、この会合に参加したフィクレト・ビラ氏のコラムだ。

エルドアン首相は、ドルマバフチェにあるオフィスで、新聞社関係者や市民団体代表と、朝食付きの記者会見で、一同に会した。首相がプレゼンテーションで述べたように、会議の目的は、4人の閣僚の辞任につながった12月17日逮捕とその後の展開についての質疑に応じることだった。

エルドアン首相の演説、質疑応答は、3つの話題に集中した。12月17日捜査で問題となった不正・収賄疑惑、フェトフッラー・ギュレンの教団と政府との間に起きている緊張、これに関連し、首相の「闇の政府(paralel devlet)」発言や、(首相側近の)ヤルチュン・アクドアンの「軍への罠」発言に端を発し現在、取沙汰されている(軍関係者の)再裁判への模索だった。エルドアン首相は、12月17日の逮捕劇とその後の展開を、自身と政府への「策謀」「クーデター計画」ととらえている。「不正追及とみせかけたクーデター計画」との表現を使う。

■「家にあった現金は、手違い」

首相の政治的見解について触れる前に、「不正・収賄」疑惑に関する首相の意見を伝えておこう。エルドアン首相と政府関係者は、このプロセスを、国内外の諸勢力が協力して行ったひとつのクーデター計画だとしているが、その一方で、ハルク銀行頭取の家の靴箱のなかからでてきたドル札やムアンメル・ギュレル元内相の息子の家から出てきた現金の問題がある。この現金に関し新聞が報じた電話の会話記録や一部の写真も、このプロセスの一部である。

首相に、問題のこの側面が問われると、彼の答えは、家にあった現金は「間違い」というものだった。首相は、不正疑惑を区別して話すことに特に注意をはらっていた。もし、「間違いを行ったものがいるなら、それは司法プロセスで明らかになる」とのべた。内閣を去った閣僚については、信頼を失っていないという印象を与えたものの、この件では司法の判断を待つとした。「その息子についてでさえ、法を守る」と表現し、この件を他の問題と区別した。しかし、このプロセスが単に不正捜査ではなく、異なる目的をもっていると強調した。

■実業家と経済

エルドアン首相は、実業家らの名前が逮捕者リストに載り、一部の実業家の資産が差し押さえられたことも批判した。名前の取沙汰された実業家やその会社が、国内外で大きなプロジェクトを行い、そのプロジェクトを入札により獲得した会社であると述べた。これらの人物や会社の名前がメディアで取沙汰されることで、その尊厳や信用を傷つけられようとしていると述べた。こうしたやり方が、トルコ経済に数日間に与えた損害は明白だと強調した。こうしたことをした人々は、トルコが発展し安定することで自分たちの利益を損じている内・外の勢力であると述べた。

■4つの目標

エルドアン首相は、12月17日捜査とその後のプロセスには4つの目標があると信じている。その考えを次のように述べた。

1―AKPに不正のレッテルをはること。これにより、AK(白)を、黒くすること。
2―政府とAKPを、アルカイダ支援者のようにみせること。
3―(クルド問題の)解決プロセスを妨害すること。
4―ギュル大統領と自身の間に反目を生じさせること。

首相は、これにより、2014年3月30日の地方選挙と、続く大統領選挙が標的にされていると信じている。

■分かれ目は、デルスハーネ(予備校・私塾)問題

首相は、12月17日捜査の理由の一つが、政府のデルスハーネ問題での決定だと考えている。エルドアン首相は、AKPと教団の支持層が思想的に近く、互いに密接な関係にあったとしたうえで、「どうして、このような対立が生まれたのか。デルスハーネが分岐点になったのか」という私の問いに、「そうだ」と答えた。政府がデルスハーネ関連の法を発表したのち、2年間の移行期間を設けたにも関わらず、(反攻の)ボタンが押されたと信じている。

■「断固たる態度」というメッセージ

エルドアン首相は、フェトフッラー・ギュレン師から「和平の求め」ととれる直筆サイン入りの手紙を受け取ったと述べた。手紙では、デルスハーネや警察での人事に触れられていると述べた。この、和解の提案には返事に窮すと述べ、「同じことをもうしないという保証がどこにある」とし、次のようにつづけた。

「司法の分野でやったことはどうなる?メディアを使って行われる攻撃は続くのか?見せかけだけではないのか?これらはどうなる?続くのか?」と述べた。首相は、こうした問いかけをし、「和平提案」を全面的に受け入れることなく、躊躇しているとのメッセージを(ギュレン側に)伝える形となった。

■「闇の政府」

エルドアン首相が断固たる態度を示した別の件は、「闇の政府」と彼が表現した組織を撲滅するという問題だった。「政府のなかに、別の政府はありえない」という首相は、「この組織に何ができるのかを、直接体験した」とし、この組織を決して許さないと、繰り返し強調した。警察や司法の一部構成員の行動をその例として示した首相は、「司法クーデーターを計画し、主権を国民から奪い、司法組織に与えようとした」とし、この組織の撲滅に断固として臨むことを示した。この件では、「乾いたもののそばでは、濡れたものも燃える、ということか?教団にシンパシーをもっている多くの人々がいるのは事実だ」との問いに対し首相は、「私は、教団という言葉がつかわれることも、正しいとは思わない。教団なら(ギュレン教団以外にも)いくつもある。もちろん、我々の目的は、政府の中にあるこの組織である。個人の家を急襲し、会社を捜索し、政府の中にある政府のように行動している。我々の目標は、この連中だ」と要約できる発言をした。

■(軍関係者の)再裁判に前向き

エルドアン首相の伝えたもう一つのメッセージは、(軍関係者らの)再裁判の働きかけに対し前向きであるという発表だった。エルドアン首相は、「政府の中に闇組織があり、軍に罠を仕掛けた」という(首相側近の)発言、(それを受け)参謀本部が司法関係者を告発したのちに問題となっているエルゲネコン、バルヨズ、KCK、サッカー八百長事件などの裁判のやり直しという提案に、次のようにコメントした。

「再裁判という件を肯定的に見ている。再審は、一つの権利である。前に適応されたこともある。立法機関として何ができるか。法務大臣に指示をだした。」

■「自分の息子や婿」

首相は、息子であるビラル・エルドアン、娘のエスラー・アルバイラクとその婿ベラト・アルバイラクに関する疑惑にも答えた。首相は、これらの疑惑が完全に非現実的なものであると述べ、次のように語った。

「(イスタンブルの)警察学校の土地問題だという。カーディル・トプバシュ・イスタンブル市長が記者会見し、土地の登記証をみせただろう。トゥラフォ社問題だという。資源相が記者会見で事実関係を説明した。TÜRGEV財団は、自分がイスタンブル市長時代に作られ、女学生に寮を提供している財団だ。首相の息子や婿は、働いてはいけないというのか?さらには、ヤスィン・アル=カドゥと会ったことが問題だとされている。ヤスィン・アル=カドゥとは、家族ぐるみの付き合いだ。それがどうしたというのだ?ヤスィン・アル=カドゥの問題では、裁判所が無罪判決をだした。政治活動禁止も解けている。彼は、大きな仕事をしているサウジ出身の実業家だ。トルコに投資をしてくれたいいと思う。」

■国家諜報機構のトラック問題

エルドアン首相は、シリアへの入国で止められたものの、捜索が許可されなかった国家諜報機構のものとされるトラックについて、次のように答えた。「国家諜報機構法26条というのがある。検察による捜査権はない。これは、支援活動の一部だ。シリアのトゥルクメンへの支援物資だ。司法がメディアに流すのは間違った行動だ。このような介入の権限や権利はない。野党第一党が望んでいるからといって、(情報を)示したり発表したりしなくてはいけないということはない。」

■執務室の盗聴

エルドアン首相は、執務室に盗聴器が仕掛けられていた件について荷も、次のように話した。「連中は、執務室に盗聴器を仕掛けることができるのだ。何ができるか、考えてもらいたい。首相府監査機構が調査している。調査が終わったら、発表がなされる。」


■「クルド問題はない」

エルドアン首相は、12月17日以後のプロセスのクルド問題解決プロセスへの影響と、クルド問題に関する質問に答えるに際し、「クルド系市民の問題はあるが、”クルド問題”だとは認識していない」と述べた。

■「そうだ、たしかに組織のリーダーだ」

エルドアン首相は、12月17日捜査について述べる際、「集まって、組織の組織図を書いている」といい、次のように述べた。「集まって、組織図を書いている。組織のリーダーだといって、うちの息子の名前をかく。もうひとつには、うちの婿の名前をかく。別のには、閣僚の名前をかく。そして、全部をつないで、その一番上に、私の名前を書く。そうだ、もちろん、一番上の組織の長は私だ。しかし、この組織は、トルコの発展に身を捧げた組織だ。その前は、AKPだ。考えてももらいたい、ある検事は、観光目的で年間22回も海外にでているのだ。これはどういうことだ?この金をだれがだしているのか?あるものは、海が好きだからといって、海のそばに家をもち、あるものはヨットが好きだからといって、ヨットをもっている。」

■「裏切り行為だ」

エルドアン首相は、党と政府が、アルカイダの支援者のように示されようとしていると述べ、次のようにつづけた。
「党と政府をアルカイダの支援者のように見せるのは、裏切り行為だ。そんなことはあり得ない。軍や警察がこれらと戦っていることは、誰でも知っている。」

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:32493 )