エジプト:オマル・サムラ、エジプト初の宇宙飛行士
【カイロ:ラーニヤ・サアドッディーン】
彼の目は幼い時から宇宙にくぎ付けだった。彼の両親や周囲の人はみな、彼は同世代の他の子供たちと同じように宇宙空間を眺めて、おとぎ話を作り上げているのだと考えた。だが事はこれにとどまらなかった。13歳になり、オマル・サムラは家族とスイスに行った時、一番高い山の頂の一つに登ろうと決意した。それは前例のない賭けのようなものだったが、オマルはこの中で挑戦の楽しさと自然への愛着を感じた。
注目すべきことに、彼は件の高くそびえ立つ頂に恐怖を感じず、それどころか充足感と喜びを覚えたのだった。そして彼は自らを縛ることなく、宇宙に到達し、そこでエジプト国旗を掲げる最初のエジプト人となろうと決意した。
オマルは語る。「僕は自分の最大の夢を実現するにほど遠からぬ場所にいる。その夢とは宇宙飛行だ。この成功を僕の最愛の妻の魂にささげたい。彼女は一カ月前に、最も美しい女の子を僕に残し、そして逝ってしまった。これが娘のタラなのだが、僕は彼女に、夢を実現させ人類の課題を克服したエジプト人の父親をもつ娘であることを常に誇りに思ってほしい。
また以下のように付け加えた。「山頂では純白の氷以外はなにも見なかった。冒険をすべて終えた後、僕は祖国に対する思慕を感じた。僕は祖国から、山へそして宇宙へと飛び出したのだ。大学で勉強した後、ヨーロッパとアジアの国々へと旅をして、そこの山を踏破することを決心した。ヒマラヤ山脈のエベレストに登頂したエジプト人はいまだかつていないと知ったとき、僕は自分自身がそれに挑戦したいと思った。そしてそれを成し遂げた時、僕は大いなる誇りを感じたんだ。誰も僕の成功を予想した人はいなかったよ、とりわけ僕は喘息を持っていたからね。でもスポーツを継続的に行ったことで、持病から解放されて強い体を作ることができた」
アメリカでの「アポロX」選考に勝利し、エジプト人最初の宇宙飛行士になったことに関しては、彼は自分がこの選考に合格するとは予想していなかったことを明らかにした。この計画への最終選考では23人が合格することになっていたが、そのうちの16人分の枠は、米国・英国・ロシアのため確保されていた。そして、残りの7つの枠を、残りの国々が争っていたのだ。
オマルは次のように話を移した。「宇宙に行く予定日は決まっていないけれど、2014年中になるだろう。航行には2時間かかり、シャトルが、重力圏から出る前と後に撮影を行なう。さらに、今まで成功してきたすべての冒険の後、誇りとする『エジプト国旗』を掲げることが自らの使命である」と強調した。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:岸本聖美 )
( 記事ID:32574 )