イラン原子力庁長官は、ウランを60%にまで濃縮する必要性は、われわれにはないと強調した上で、「たとえいつの日か、この種のエネルギーを艦船や潜水艦の動力源として利用することがあるとしても、〔当面は原発の〕原子炉を活用する〔ことに力を注ぐ〕のがよいだろう」と述べた。
アリー・アクバル・サーレヒー氏は〔イラン国営放送の海外在住イラン人向けの衛星放送局である〕「ジャーメジャム」第一チャンネルのテレビ番組「イラン人、こんにちは」に出演し、その中で一部の国会議員が、政府に60%ウラン濃縮活動を義務づける内容の法案を用意していることに触れ、「もちろん、もし国会議員が、60%ウラン濃縮活動が国の利益にかなうと判断し、この考えを法律にするのであれば、われわれとしてもそれに従わざるを得ない」と付け加えた。
同長官は、「われわれが何年も前に濃縮活動を開始した際、われわれは自主的に濃縮活動を5%に限って行った。もちろん、国際原子力機関の憲章によれば、われわれはどの規模であれ、またどの方法によってであれ、この作業を行うことができた。しかしわれわれは必要の範囲内で、濃縮に着手したのである」と語った。
同氏は、イランはブーシェフル原発の燃料を調達する範囲内でのみ、濃縮活動を行っているとした上で、「もちろん、もし平和的なことのために濃縮度20%の〔ウラン〕燃料が必要となった場合には、諸外国がわれわれにそれを売る義務がある。それが実現されない場合、われわれは自ら、その調達に向けた行動を取ることができるのである」と述べた。
同氏は国会で60%濃縮をめぐって議論されているさまざまな見解について、「われわれは濃縮活動を60%にまで引き上げることで、90%濃縮活動への第一歩とするつもりではないか、というのが西洋諸国の見方である。実際、彼らはイランが濃縮活動のレベルを引き上げれば引き上げるほど、より高い濃縮度〔のウラン〕を獲得することが容易にな〔り、イランの核兵器保有への道が開かれ〕ると、〔国際世論に向けて〕吹聴しているのである」とコメントした。
サーレヒー氏はその上で、「われわれは平和的核エネルギーの利用に関する最高指導者のファトワーを有しているし、過去10年間、善意を示してきた。今日までわれわれの言ってきたことに、何の矛盾点もない」と付け加えた。
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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:32584 )