環境影響調査をせずに始められたとして過去2度にわたり捜査が入ったアックユ原子力発電所建設工事に対し、今度は「土地所有権」の差止めを求める裁判が起こされ、発電所の「工事」は中断に追い込まれた。
メルスィン県のアックユにある原子力発電所建設予定地の所有権無効を求めて、地域の市民団体と公益団体が裁判所に提訴した。これにより、トルコ原子力機構が2013年12月6日に更新した土地所有権の差止めと剥奪のための裁判が始まった。報道によると、ここ数日現場での作業は中断し、工事のために雇われた労働者たちも現場を離れているという。
アックユ原子力発電所プロジェクトでは、土地所有権の問題が長年にわたり議論されてきた。トルコ原子力機構(TAEK)が提示した土地所有権は1976年発行であったため、これは無効だという抗議があった。その後、TAEKは昨年12月6日にこれを更新。メルスィン反原発プラットフォーム(NKP)、メルスィン弁護士会、メルスィン医師会、電気技師会議所と近隣の村人たちは昨日(3日)、メルスィン地方裁判所に土地所有権について法に訴えた。訴状には、(原発建設は)法から大きく逸脱し、再生不可能な害を及ぼす可能性があるとして、原子力発電所に与えられた土地所有権の差し止めと剥奪が請求された。
メルスィン反原発プラットフォームのスポークスマン、サバハト・アルスランさんは、地裁前で行った会見で、土地所有権が今の科学的見地からみて受け入れられるものではないと話した。また、1976年の所有権発行の際に署名した科学者らが現在は反原発の立場であることを指摘、建設現場で働く労働者たちも現場を去っているとし、「我々は建設予定地の工事中止に成功しました。同様に、原発建設も阻止します」と語った。
原発が建設されるアックユに最も近い居住地のひとつ、ビュユケジェリ村で暮らすネリマン・デレさんは、夫のムスタファさんと妹の夫が建設現場で一時期働いていたと話し、次のように語った。「主人は6~7カ月仕事があると言って行きました。けれど2カ月ほど働いたあと、20日前に仕事を辞めさせられました。妹の夫も以前、期間限定で働かないかと声をかけられ、その後仕事はあると言われていましたが結局10日前に暇が出されました」
■原発関係者「最初の採石工事が終わったところ」
原発建設プロジェクトの関係者は、ラディカル紙の「労働者の退去と工事の中止」報道に関連する質問に、現場では原発建設ではなく採石工事が行われていたとして次のように回答した。「アックユの土地では第1採石場で予定されていた工事が完了した。第2採石場については、採石仮許可は下りているが、必要な全ての許可証と権利書を揃えるのにもうしばらくかかる。今月末、許可証と権利書がそろった段階で第2採石場での工事再開を考えている」
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:32820 )