2年前にトルコの法制度に導入された「調停員」のおかげでイスタンブルのある被告が孤児30名に200TL(約9310円)総額のラフマージュン(トルコ風薄生地ピザ)とアイラン(塩味のヨーグルト飲料)を振る舞い、最高3年の懲役刑を求刑し起こされる予定であった訴訟を免れた。
訴訟事件で当事者らは今後「調停員」を利用し、判決無しで和解するようになる。この興味深い事例がイスタンブルで起こった。
某馬券販売店に勤務するエルジュメント・アクコユン氏と某企業の警備員であるエルダル・カラギョズ氏が喧嘩を起こした。カラギョズ氏はアクコユン氏に対し病院送りにするまで暴行を加えた。2013年9月に発生した同事件後に検察当局へ直行したアクコユン氏の告訴を受けエルダル・カラギョズ氏に対する捜査が開始された。カラギョズ氏のアクコユン氏に対する「意図的な傷害」罪で捜査を実施したヒュセイン・ヤヴァシュ・イスタンブル県共和国検事は、両者に対し調停案を提案した。
■ 検事は調停を命じた
ヤヴァシュ検事は、両者が調停を肯定視した事を受け捜査ファイルを裁判所で「調停員」に任じられたエユプ・エンサル・ジェイラン氏に送付し、両者と面会して調停を促し、適用される刑罰を明示するよう要求した。
2014年2月20日に捜査ファイルを受け取ったジェイラン調停員は、4日後に両者に電話で接触した。両者は顔を合わせることは望まなかったが、調停は希望していると言明した。
■ 調停員の意外な調停案
エユプ・エンサル・ジェイラン調停員は、エルダル・カラギョズ被告に予め調停の結果として裁判所等の公的機関での奉仕業務案の代わりに異なる案を提示した。
■ 200TL総額のラフマージュンを振る舞い、訴訟を免れた
ジェイラン調停員は、エルダル・カラギョズ被告がエルジュメント・アクコユン原告名義でエユプ児童養護施設に身を寄せている孤児30 名に食事を振る舞うよう提案した。それぞれ両者が同案を承諾したことを受け、カラギョズ被告は、アクコユン原告名義で孤児30名に200TL総額の ラフマージュンとアイランを振る舞い自身に対し起こされる予定であった訴訟を免れた。
■懲役3年の判決が下されるはずだった
エルダル・カラギョズ氏が調停を承諾しなければ、自身に対して「意図的な傷害」罪で1年から3年の禁固刑を求刑する訴訟が起こされていた。
■ エルダル・カラギョズ氏:すばらしい実践だ
調停の判決を評価したエルダル・カラギョズ氏は、「すばらしい方法だ。訴訟に費やすお金を子供達に食事をさせるために費やした。食事も私が持参した。子供達は食事を非常に喜んでくれた、来週、彼らを再度訪問する予定だ」と述べた。
■ 調停員の職務
司法の負担を緩和する意図で、西欧で長期に渡って適用されている制度がトルコでも普及している。
この方法でイスタンブルだけでも年間少なくとも1万件の事件が裁判所へ行かずとも解決される事が目標とされている。検察当局により任命される調停員は一般的に裁判所職員により選抜される。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:33147 )