■シリア:350万人の子どもが教育現場から遠ざかる
【イスタンブール:ラナー・イブラーヒーム】
シリア人の子どもたちの問題は、戦争による子どもたちへの影響や、彼らが犠牲者や殉教者、負傷者になってしまうといったテーマをすでに通りすぎた。政権の支配が及ばない地域では学校が破壊されてきた結果、その問題は、子どもたちが教育[機会]を失い、教育現場から遠ざかるというところにまで達した。
避難先の国々での教育の可能性も失われていくにつれて、この問題はエスカレートしている。それらの国々では、子どもの数が受け入れ能力を数倍も超えるほどにまで増え、もはやそれ以上難民の学生を受け入れられなくなっている。
UNICEFは最近、「包囲―子どもへの壊滅的な影響」という自身が発行した報告書で警鐘を鳴らした。そこでは、シリアとその隣接国の子ども約300万人は規則正しく学校に行けていないことが指摘された。その報告書によると、この数字は就学期にいるシリア住民のほぼ半分を占める。また、昨年9月にUNICEFが明らかにしたところでは、6歳から15歳のシリア人の子ども約200万人が学校外にいるという状況であった。つまり、学生ではなくなった子どもの数は5か月間で100万人を超えた。
不透明な未来
反体制派の「シリア国民連合」によるシリア暫定政権のアブドゥッラフマーン・ハーッジ教育顧問は、6歳から15歳の学生はおよそ500万人おり、適切な教育を受けていないと述べた。そして同顧問は、この数字には320万人から350万人の子どもが含まれており、彼らは全く教育を受けておらず、残りの子どもは大変困難な状況下で教育を受けていると述べた。ハーッジ教育顧問は、500万人の学生は解放された地域や隣国におり、つまりその数字には難民とそのような人々が含まれると述べた。また、教育を受けている人々の20%はシリア国内の現地の学校に通っていると明らかにした。
ハーッジ顧問の描写によれば、これらの学校とは、家屋や建物内の1つの避難所に粗末な数部屋があるにすぎないものである。同顧問はトルコの学校での学生の状況も取り上げ、難民キャンプにあるシリア人学校はトルコ政府によって管理されており、万全な支援を受け取っていると指摘した。
一方で、トルコの町にあるキャンプ外の学校の一部も、[トルコ]政府から援助を受け取っている。ハーッジ顧問によると「トルコの自治体は度々これらの学校に建物を無償提供している。そして、トルコの普通学校は時折子どもたちに夜間の勉強を許可している。」
ハーッジ顧問は「シリア国民連合」によるシリア暫定政権の学校への支援について語り、暫定政権は学校支援計画とその作業の調整を始めたと述べた。特に崩壊寸前の学校や現在困難を極めている学校に対して、金銭的な援助を提供した。また、暫定政権は教科書も学校に提供し、トルコ政府と連絡を取り合って必要な設備を提供している。そして同顧問は、暫定政権には計画があることを指摘した。その計画では、段階的に支援を拡大し、最終的には、教育憲章の統一と組織化を実行した後に、教師に完全な給与を与えることになっている。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:田村颯 )
( 記事ID:33440 )