ギュル発言の真意―傀儡首相を拒否か
2014年04月18日付 Milliyet 紙


アブドゥッラー・ギュル大統領は18日、キュタフヤでの発言で、政治的課題の方向性を一瞬にして変えてしまった。

エルドアン首相はこの発言に関する質問に対し、「親愛なるギュル大統領からの説明を聞かずには何も言えることはない。」と述べるにとどまった。ギュル大統領の発言の直後、アンカラではこの言葉の真相究明への取り組みがなされた。

■「現段階」とは

大統領の発言の中で最も注目されるべきは、紛れもなく、「今後の政治活動は白紙」というものであった。しかしこの発言の前にギュル大統領が一つの説明を付け加えたことに注目する必要がある。ギュル大統領は今後の政治活動が完全に白紙なのではなく、「現段階では」今後の政治活動は白紙であると述べているのだ。チャンカヤ周辺で我々が得た印象と併せてこの説明を考えてみると、ギュル大統領の政治人生と大統領選挙に関する彼の考え、さらには彼の発言の中に示された真意は以下のように要約できる。

■6つのタイトルでまとめられる大統領選プロセス

1. ギュル大統領の真意は「現段階では」秘密である。ギュル大統領は続けて、「私は現職の大統領であるので、一部の話題について自分の意見を言うことが制限されている。しかし私は無所属で政界に入った、あるいは大統領になった人間ではないのは事実だ。したがって、私たちはこれらのことを仲間と話し合い、議論し、最終的な結論を下すつもりだと述べた」と言っている。これらの発言は、大統領選挙に関する難問はギュル大統領とエルドアン首相の会談において解決されるという主張がまだ有効であるということを示している。

2. エルドアン首相が(大統領を)望んだなら、ギュル大統領は引き下がるはずだ: 我々が得た印象と、政界の裏側で飛び交う情報によると、この会談で、エルドアン首相が大統領に立候補したい旨を述べたならば、ギュル大統領はこれに反対せず、あえて立候補はしないであろう。エルドアン首相が大統領に立候補することに対し、あえて立ち向かうことはしないであろう。

3. 傀儡にはならない: 昨日のギュル大統領のメッセージは、エルドアン首相が大統領に立候補する意志があるという仮説に依拠している。ギュル大統領は、「現段階では」といった表現を用い、エルドアン首相に対し、大統領の地位から降りるときは、「傀儡首相」にはならないとのメッセージを伝えた。

4. ギュル大統領のメッセージにおける不快感: こうしたメッセージを発したということに対し、最近の一部の様々な発言や論評が彼を後押ししたということもできる。エルドアン首相が公正発展党の議員らと行った会合で、「大統領になったなら、あらゆる権限を行使する」と述べたことに対する報道や、こうした発言がAKPによって収拾されたことで、ギュル大統領は「傀儡首相にはならない」というメッセージを送らねばと考えたのだ。ギュル大統領はまた、エルドアン首相が同会合で述べたとされる、「走って、汗を流す大統領」という発言についても不快感を覚えると述べている。実のところギュル大統領は、この会合の翌日に参加したイベントで、このエルドアン首相の発言についての質問に対し、「私が汗を流しているかどうか、首相はご存知なのでしょう」と述べ、ギュル大統領の不快感のヒントを示していた。

5. 気分を害させる論評: 「現段階では」という表現を用いるに至ったもう一つの理由はというと、近頃の公正発展党シンパの一部評論家たちの発言にある。評論家たちにより、ギュル大統領の気分を害するような表現を用いた様々な論評が書かれている。また、公正発展党に近い評論家や新聞記者たちが、「公正発展党において、共同党首制度が実現し、ギュル大統領と共に現在の公正発展党副党首であるヌマン・クルトゥルムシュ氏が共同党首となるであろう」との見解や報道が、ギュル大統領側を不快にさせている。エルドアン首相がこれらの報道や見解に対して何ら反応を示さなかったこともまた、同様の考えが政府によって議論されていると解釈される要因である。ギュル大統領はこうした状況に不快を感じているとされている。

6. 強い首相: ギュル大統領は、「エルドアン大統領-ギュル首相」という構図が実現するならば、今日のような制度が続くべきだと考えている。エルドアン氏はギュル大統領が行ってきたような大統領としての職務を果たし、強く行動力のある首相としての職務は、ギュル氏に任されるべきだと考えている。

■首相の基準

こうしたすべての情報を、ギュル大統領はいかなる条件下で「エルドアン大統領-ギュル首相」という構図を受け入れることになるのか、という形で要約し、2つのタイトルにまとめることが可能である。
1.ギュル大統領は、エルドアン首相が大統領に立候補しても、決して異議を唱えることはしない。
2.しかし首相という職務に関しては、エルドアン首相のように、政府に対し唯一責任を持つ人物になれた場合に受け入れるであろう。半大統領制あるいは政党色の強い大統領としてその地位につけさせられ、また首相が大統領の影響下に置かれるような構図が生まれるのであれば、その職務は引き受けないであろう。

 ギュル大統領は、2013年10月1日、トルコ大国民議会の新会期開会式で、「私は今まで、人々のために尽くし、神のために尽くし、崇高なる我トルコ国民への奉仕を続けてきた。今後もこうした考えや意識で、国民の皆さんのために尽くす努力を続けるつもりです」と述べていたし、この言葉は、「引退しない」というメッセージとして解釈された。ギュル大統領のあの日の発言から昨日に至るまでの中に、彼が言うところの「現段階では」が横たわっているのである。

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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:33543 )