忘れえぬ大いなる赦し:死刑囚の男、処刑寸前に刑を免除される
2014年04月17日付 Iran 紙
大いなる赦しが起きた現場は、涙と笑みであふれていた。黒の喪服を着て〔刑執行現場に臨んだ被害者の〕母親は、息子を殺害した若い男の首からロープを解いたのである。息子を殺した男に母親が望んだのは、〔息子を失って〕どれだけ辛く、悲しい思いをしてきたのか、決して忘れてもらいたくない、ということだった。
この心震える瞬間の写真は、人類愛を示す一端として、イランの刑事史に永遠に残るだろう。殺人犯は86年アーバーン月30日〔2007年11月21日〕、
マーザンダラーン州ロオヤーン市内のバーザールで起きたある理由なきケンカで、18歳になる少年をナイフで殺害した。
この殺人事件で、二人の若者はささいな偶発的出来事をきっかけに、口論をはじめ、ついにはアブドッラーの死というやるせない事件へと行きついた。殺人犯は事件のすぐあとに、自宅で逮捕された。
マーザンダラーン州の刑事裁判所はその6年後、殺人犯に死刑を言い渡し、今年のファルヴァルディーン月26日〔4月15日〕(火曜日)、この男は公開で処刑されることになった。しかしサッカーの指導者〔である殺された少年の父親〕と喪服の母親は、自分たちの法的権利〔※〕を放棄、この若い男にもう一度生きるチャンスをプレゼントしたのであった。
※訳注:イランではイスラーム刑法にもとづき、被害者(遺族)には加害者に対して同害報復を求める権利がある。被害者(遺族)は同害報復に代えて、賠償金を要求することも可能で、いずれを選ぶかは被害者(遺族)の権利となっている。
この辛い、苦渋の瞬間、そして恐怖に満ちた視線は、本記事に掲載された写真によく現れている。殺人犯の母親とその家族の歓喜、殺人犯の男が喪服の母親の足下にひざまづいた様子、そして息子を失ったこの家族の悔いと偉大さが分かるだろう。
※右上の写真は右クリックで「画像だけを表示」にすると、拡大表示することができます。以下、写真の解説。
真ん中の写真:被害者の父親と母親が処刑寸前の死刑囚の首からロープをほどくシーン
一番右下:感極まって、警備に当たっていた警官が被害者の父親に感謝の意を表明しているシーン。
右下から2番目:処刑を免れて感激の涙を流す元死刑囚の男。
左下から2番目:息子が助かって喜ぶ元死刑囚の母親(左)が、被害者の母親(右)を抱き寄せるシーン。
左上:被害者家族
左:加害者を赦した後、息子の墓前を訪れる被害者家族
左下:死刑執行前、打ちひしがれて座る死刑囚の母親
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:33550 )