クルチ憲法裁判所長官の政府批判を読む
2014年04月25日付 Hurriyet 紙


憲法裁判所のハーシム・クルチ氏は最近裁判所の判決に対する政府側からの批判について「挑発的な警告には答えないと決めている」と述べたが、名前を挙げずに批判に一つ一つ答えた。

裁判長は法の優位性と自由といった問題を強調し、「強く訴えた非公式のリストラは恐怖、不安、不確実性を生み、職業上の関係に大きな悪影響を与える原因となっている。司法が直面しているこの主張に名前をつければ、良心の欠陥だ」と述べた。

クルチ裁判長は憲法裁判所の設立記念式典での演説でレジェプ・タイイプ・エルドアン首相や政府には一切触れなかった。しかし世論で評判の良い首相の功績について触れた。

裁判長の演説のキーワードは次の通りだ。

・エルドアン首相:私たちはミッリー・ギョリュシュのシャツは脱ぎ捨てた
・クルチ憲法裁判所裁判長:力と条件に左右されてシャツを変えることはない・・・

エルドアン首相が公正発展党を結成したすぐ後に行った会見での「私たちはミッリー・ギョリュシュ(国民の視座)のシャツを脱ぎ捨てた。過去は忘れてください。私たちは全く新しい政党です」との発言は世論で大きな議論を巻き起こした。クルチ裁判長も演説で「シャツ」の比喩を使った。クルチ氏は2010年まで憲法裁判所によって「不当に扱われた」人たちが現在同じ裁判所の判決を不快に思っていることを「矛盾」だとし、「私たちは公正であることを神聖な任務とされた文明のメンバーとして、力と条件に左右されてシャツを変えるようなことはしない」と述べた。

・エルドアン首相:地域の圧力の慣習を失くしましょう
・クルチ裁判長:司法に対し地域の圧力がある

エルドアン首相は2010年9月29日に憲法改正が認められた2週間後に行った会見で、トルコにおいて信仰と教育の自由に向けた前進がなければならないと述べ、「この国でどのような思想を持っていようと、どのような信仰を持っていようと、どのような政治的傾向を持っていようと、私たちが地域の圧力と呼んできたそのものを失くしましょう。皆自由であるべきなのです」と語っていた。
クルチ裁判長も今日の演説で政府関係者の司法に対する批判について、「地域の圧力によって司法関係者の見解、思考、決断を影響下に置こうとする努力は司法の神聖さを信じる者たちの前では有効ではない」と述べた。

・エルドアン首相:憲法裁判所の判決は国のものではない
・クルチ裁判長:国のものではないとして非難するのは浅はかだ

ツイッターへのアクセス禁止を「権利の侵害」とし、撤回することを求める憲法裁判所の判決に対してエルドアン首相は、「憲法裁判所の判決には従わなければならないが、敬意を払う必要はない。私は敬意も抱いていない。ツイッターに関する憲法裁判所への訴えを私は正直、国のものだと思っていない。アメリカの会社がこのように守られている一方、私たちの国民的な価値は軽視されている」と述べた。憲法裁判所クルチ裁判長は今日の演説で「一つの行動の手続きが政治的なテキストである憲法に基づいて監査されるが故に、それにより下される憲法裁判所の判決が政治的な結果を生むことは、自然なことだ。憲法裁判所は政治的な目的を持って動いていると言ったり、国のものではないとして非難するのは浅はかだ」と述べた。

・クルチ裁判長:法的手段を尽くすことは絶対ではない
・エルドアン首相:憲法裁判所は国内の法的手段を尽くさないまま判決を下した

エルドアン首相は4月4日の会見で、憲法裁判所のツイッターに関する判決について、「現在取られているこの判決は初等裁判所を通ることなく、法的手段を尽くさずに憲法裁判所に持ち込まれた。憲法裁判所はこれを却下しなければならなかった」と言っていた。

クルチ裁判長は、憲法裁判所が以前、逮捕された国会議員たちについても司法過程の完了を待たずして判決を下したことに言及し、同様の判決がツイッターについてもとられたことが批判されていることに反論した。「欧州人権裁判所でも憲法裁判所でもいくつもの判決の中で、法的手段が尽くされなければならないという条件は絶対ではないと明言してきた」と述べた。

・エルドアン首相:トルコにおける最後のギャングは並立して存在するギャングだ
・クルチ裁判長:非難につきまとっている限り司法は自立できない

エルドアン首相は4月11日に[国家内の]並立統治機構との闘いに関して司法のとった態度を批判し、「私たちは司法が自己批判を行い、再構築されることを期待している。民主主義の国ではどの職域の中で職務にあたっていようと、その場所に留まるだろう。司法が政治から手を引くために必要なことは何でもする。これまでの困難から教訓を得て、司法が政治を妨害するものではなく、政治に力を与えるものになるための改革を行う。トルコの最後のギャングは[国の統治機構の中で]並行して存在するギャングだ。これも一掃し、 トルコの足を引っ張るあらゆる束縛を取り払う」と語っていた。
クルチ裁判長は、最近司法は「並行国家」や「ギャング」と表現されるとても重大な非難に直面していると述べ、「この非難に直面しているうちは司法が自立することは不可能だ」と述べた。

・エルドアン首相:間違いを犯した者たちは当然異動させられる
・クルチ裁判長:異動で問題は解決しない

エルドアン首相は12月17日以降の警察と司法における人員の異動について、「異動は批判されているが、25万人を超える警察官がいるのだ。間違いを犯した者は当然異動させられる」と語っていた。
クルチ裁判長は今日の演説で「司法や行政機関にいるとされるこのような人たちを他の県に移すことや職場を替えさせることが問題解決になっていないのは自明だ」と語った。

・エルドアン首相:罠はとても大きい
・クルチ裁判長:司法は罠を仕掛けるようなところではない

エルドアン首相は12月17日の贈収賄捜査の後に行った会見で「国民の意思に罠が仕掛けられた」と述べ、「罠はとても大きいが、国民の理解がこの罠を潰した。私たちは再度力強く立ち上がった。再び国民の委託をうけ、邪悪なシナリオを覆した」と述べた。
裁判長はというと、「司法は国民の意思に対して罠を仕掛けるようなところではない。そうであってはならない」と語った。

■「もし私たち判決を下さなかったら・・・」

クルチ裁判長は憲法裁判所の判決に対する批判について最後に、もしも憲法裁判所がこれらの判決を下さなかったら欧州人権裁判所によって「存在を否定されうる」と強調した。

■政府は何をすべきか

クルチ裁判長は演説で、これまで説明してきた問題を解消するために政府がすべきことについても言及した。裁判長はそのことを次のようにまとめた。
「司法に対する不信感を政府関係者が強く口にすることは問題の解決にはなっていない。このような安易なことをやめ、裁判官と検察官のプロフィールの問題や司法制度の構造的な問題、憲法裁判所が確認した違反をなくすために国家が負うべき肯定的・否定的な責任に基づき、とるべき措置を議論の俎上にのせ、解決策を生み出すべきだ。」

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:33645 )