「イラク・シャーム・イスラーム国」(ダーイシュ)とは何者なのか?
2014年06月12日付 al-Hayat 紙


■ダーイシュ(ISIS)とは何者なのか?

【バグダード:本紙、AFP】

「イラク・シャーム・イスラーム国」(ダーイシュ/ISIS)は2013年4月に結成された。同派は当初、2006年10月に結成され、「アル=カーイダ」に従属している「イラク・イスラーム国」と、「ヌスラ戦線」として知られているシリアのイスラーム主義武装集団とが合併したものと主張していた。しかし、後者(ヌスラ戦線)はこの合併を即刻拒否し、2014年1月に両当事者間での戦闘が始まった。

「イラク・シャーム・イスラーム国」は「アル=カーイダ」指導者であるアイマン・ザワーヒリーの権威に公然と挑戦し、ザワーヒリー氏の「イスラーム国」はイラクに集中し、シリアを「ヌスラ戦線」に任せるようにとの呼びかけを拒んだ。

「ダーイシュ」は2004年組織創設当初、アブー・ムスアブ・ザルカーウィー氏を指導者とする「タウヒードとジハード集団」という名の下で活動していた。これは「タウヒードとジハード集団」が「アル=カーイダ」の前指導者ウサーマ・ビン・ラーディン氏に忠誠を誓い、その名を「メソポタミアのアル=カーイダ」にする以前のことである。

ザルカーウィー氏の死後、アブー・ハムザ・ムハーズィルが同組織の指導者に「選出」され、その数カ月後、アブー・ウマル・バグダーディーを指導者とした「イラク・イスラーム国」の結成を発表した。

しかし、2010年4月に米軍がバグダーディー氏と彼の補佐役だったアブー・ハムザ・ムハーズィル氏の殺害に成功すると、同組織はアブー・バクル・バグダーディー氏を後継者に選出した。

1年後、(アブー・バクル・バグダーディー指導者の)録音演説が出回り、同人は「ヌスラ戦線」は「イスラーム国」の一部であると発表した。同時に「イラク・シャーム・イスラーム国」という唯一の名のもとに彼らは統合することを発表した。

ドーハの「ブルッキングズ」センターのチャールズ・レスター氏の推定によれば、この組織の参加者数はイラクに5~6千人の戦闘員、シリアに約7千人とされる。しかし、この数字は他の情報源との確認はとれていない。

また国籍に関して、イスラーム主義運動の専門家であるフランス中東研究所のルーマン・カーイーフ氏は、「シリア領内の戦闘員の大半はシリア国籍だが、その指導者らほとんどの場合海外から来ており、かつてはイラクやチェチェン、アフガニスタンで戦闘員だった者である。一方、イラクに関して言えば、戦闘員のほとんどはイラク人である」と述べている。

同組織は数百人のフランス人・ベルギー人・マグリブ諸国人のフランス語話者を含んでいる。

同組織は1月に他の集団と共にファルージャとバグダード西のラマーディー市の諸街区を制圧した。

また今日、同組織は「イスラーム国の州」であると公言していたイラク北部のニネヴェ県を制圧したと発表した。そして新たな「侵攻」を行うことを誓った。その後、ダーイシュ傘下の「バラカ州」の(SNSなどの)アカウントでイラク・シリア国境の土壁を壊している武装集団が映った写真を発表した。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:坂田優菜 )
( 記事ID:34269 )