憲法裁判所が、「裁判における不備」を認める決定をしたのをうけ、アナドル重罪裁判所は、230人の受刑者を釈放した。裁判は改めて審議される。
憲法裁判所によるバルヨズ裁判の被告230人の権利が侵害されたとの「暫定決定」がイスタンブル・アナドル第四重罪裁判所に伝達されると、同裁判所は、受刑者らの釈放申請を検討した。ジャン・シュクル担当判事は、バルヨズ裁判で有罪判決を受けた230人について再審を認め、刑の執行の停止を申請した。検察のこの要請をうけ、裁判所は230人の釈放を決定した。民族主義者行動党のエンギン・アラン議員や、元第一軍司令官のチェティン・ドアン、イブラヒム・フルトゥナやオズデン・オルネクなどの元軍司令官たちを含む受刑者らは、夕刻、刑務所をでた。唯一の女性受刑者であったベルナ・ドンメズ元少佐は、バクルキョイ女性刑務所からでた。
憲法裁判所は、バルヨズ裁判の230人の被告について、裁判での権利が侵害されていたとの「暫定決定」をインターネットサイトに掲載した。有罪判決をうけた被告側は、当時の参謀総長ヒルミ・オズコクやアイタチ・ヤルマン陸軍大佐への証人申請が裁判所により拒否されたことに対し証人証言の権利が侵害されたとして不服申し立てを行っていた。また(押収されたコンピュータ内から得られた)デジタルな証拠に関する確認が不十分であるとする不服申し立ても行っていた。(今回の決定は)これらの不服申し立てに対し十分な措置がとられていないとする訴えに十分な根拠があるとの決定がなされたものである。
公正な裁判を受ける権利が侵害された場合、侵害とその結果を解消するために再審を行うべく、その際の判決のサンプルが関連する裁判所に送致される決定も行われた。この決定は、大法廷の17人のメンバーの全員一致で決定された。憲法裁判所の決定がイスタンブル・アナドル第四重罪裁判所に到着したのち、裁判団はバルヨズ被告らの弁護団から出された釈放要請を検討した。
■(ラフトゥヴァン)大佐は忘れられ・・・
検察側が230人の被告の釈放を認める意見を伝えると、裁判団は、被告の釈放を方向で決定をした。裁判団は、検察の再審を行いたいとする要請を妥当とし、再審を決定した。裁判所は、これを受け、同裁判で有罪判決をうけた全被告について、再審の決定を行った。裁判所は、憲法裁判所から送られてきた決定の内容を検討し、被告らのこれまでの拘留・収監期間を考えると、刑の執行の継続が、現時点で被告らの不利益になるとし、刑の執行を決定した。この決定ののち、裁判所は、被告らが他の裁判で逮捕されていない場合には、釈放されるようにと、決定した。
釈放により、被告の家族らは歓喜に沸いたが、おかしな事件も起こった。シンジャン刑務所に収監されていたアフメト・ギョクハン・ラフトゥヴァン退役大佐albayの名前がリストになく、彼は刑務所にとどめられた。イズミルにおけるスパイ裁判で裁判中のセイフェッティン・アレヴジャン中佐yarbayは釈放されなかった。
■国会の司法委員会で論議
憲法裁判所が下したこのバルヨズ決定は、(国会の)司法委員会でも論議となった。民族主義者行動党(MHP)のムラト・ベシェスギオール・イスタンブル選出議員は、「ひどい人権侵害だった。わが党のエンギン・アラン議員も含まれる。(国会議員に)有罪判決がでるのは、国会をないがしろにすることだ。憲法裁判所のこの決定により、アラン氏やそのほかの有罪者の収監がなくなることを望む」と述べた。一方、公正発展党のシュアイ・アルパイ・エラズー選出議員は、「クーデターやクーデター主義者らの対決については、正しいことが行われた。この決定で『クーデターはなく、クーデター主義者らはいなかった』という話にしてはいけない」と述べた。共和人民党のオメル・スハー・アルダン・ムーラ選出議員は、「この決定により、2007年来行われてきた裁判のやり方が崩壊し、トルコにおいて、現行の裁判制度が崩壊したといえる。この裁判は、はじめからでっち上げだった。目の前にあることに覆いをかぶせてはいけない。『この連中はクーデター主義者だったが、裁判官らの不注意からこういう結果になった』というような話にしてはいけない」と述べた。同じく共和人民党のディレキ・アカギュン・ユルマズ・ウシャク選出議員の「首相は『計画的なことだった。無罪の人が刑務所にいる』と述べた。(AKPの)皆さんは、いまも首相の「私がこの事件の判事だ」という言葉に従うべきだ。もし文句があるなら、首相にいえばいい」という発言に対し、公正発展党のハーカン・チャヴシュオール・ブルサ選出議員と、ムラト・ギョクチュルク・ネヴシェヒル選出議員が反発を示した。ギョクチュルク議員は、ユルマズ議員に対し「あなたは、この裁判の弁護人じゃなかったのか」と質問した。
司法委員会のアフメト・イイマヤ委員長は、この決定が前向きのものだとし、アルダン議員の「制度が崩壊している」との意見に賛意を表明した。イイマヤ議員は、「司法委員会は、単に立法機能だけでなく、プロセスを正しく分析し、学者の提案を待つまでもなく、社会的な条件をに対して答えられる委員会でなくてはならない」と述べた。尋問と収監の権利が、裁判以外の目的で使われていることが再検討されなくてはならないとするイイマヤ委員長は、「デジタル証拠システムは、崩壊している。トルコほど、デジタル証拠の漏洩が野放しになっている国にない」とのべた。
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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:34397 )