■イラク・シャーム・イスラーム国
【アブドゥッラー・ナースィル・ウタイビー】
「ダーイシュ」はどこからやって来たのか?その組織はどのようにして生まれ、成長し、強健になったのか?支援しているのは誰か?最大の優先事項は何か?将来どうなるのか?中東の諸組織、諸国家はどう見ているのか?ひとつの面しかないのか、それともいくつもの面があるのか?彼らの戦いは今後、軍事的・思想的にいかなる展開を見せ得るか?
近頃、右に列挙したような問いがあらゆる情報媒体をにぎわせている。メディアが言及し、思想フォーラムが問いかけている。治安機関、政府、大学の研究業界も議論している。友人同士がソファーの上で意見を言い合う。カフェは疑問でごった返す。家族が家に集まり話し込む。ひとり車を走らせる男は、考え込みながら遠くに行き、すぐ帰って来る。しかし、満足のいく答えは得られない!
われわれは「ダーイシュ」がイランの創造物だと聞くし、アサド政権が生み落としたものだと耳にするし、サウジに支援されているとも聞こえてくる。別の情報筋らは、「ダーイシュ」はただ純粋に、自身の国家を樹立するために当該地域における全ての存在を破壊しようとしていると言う。さらにまた、アメリカや西欧諸国の思惑が当該地域の混乱の背後にはあるとも言われる。では、彼らはいったいどこから来たというのか?どう彼らを定型化すればいいのか?
「ダーイシュ」はイランの実験室の中でつくられたのだと言う者もいる。私はその可能性を支持することができる、つまり最も過激で最も急進的な勢力でもってのみ可能な、スンナ派全体の切り崩しのためだ、と。さらに言えば、イランは、同じ穴のむじなとして、「ラワァーフィド(シーア派に対する蔑称)にとっての最大の敵」となって現れる勢力を通して、すなわち「ダーイシュ」を利用して間接的にスンナ圏全体に影響を与え、「洗脳」することができる。
以上はひとつの見方である。他方でイランは、首を切断したり引き剥いたりする以外に他者との接触方法を知らない野蛮人とは違い、シーア派イスラームこそ平和を志向する真のイスラームであり、平和的共存に基づく国際関係の構築の基盤となり得る存在なのだと、文明化して都市化した世界を説得することに力を注いでいる。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:34464 )