■イラクの芸術は活動停止状態
【バグダード:アリー・サラーイー】
イラク文化省の職員が首都バグダード中央に位置する国立劇場の建物に巨大な垂れ幕を掲示した。そこに書かれた内容は、テロとの対決に費やされている努力を支援するというものである。恐らく、これによってダーイシュとの交戦が勃発した後、芸術活動が下火になった状況が説明されるだろう。
ここ数週間にわたり、俳優や画家、音楽家らのエリートを含めた人々の心を支配する恐怖により、バグダードでは自然発生的な形での芸術活動は停止した。多くの者は、未来が見通せないと感じている。そうした人々の中には、さまざまな分野で活動する芸術家らがおり、彼らは国が破局に近づく中、何をしているかわからないでいる。
イラク舞台の監督ジャミル・ナフスは、「6月10日に起きた治安の崩壊は、芸術業界に重い影を落とした」と述べた。同監督は、「あの日起きたことは痛ましい出来事であり、恐らく一般人とは異なる芸術家にとって非常に大きな衝撃であった。というのは、芸術家は社会生活に対するこの事件とその脅威が持つ危険性を知覚したのである」とつけ加えた。また「兵器、戦争、殺りくは、芸術家が取り扱う武器ではない。(治安崩壊によって)生じたことは、われわれの生活における憂慮すべき空白である。安定が欠如している状態では、芸術家の想像力が停止する」と述べた。
この抑圧された現実の中で、芸術活動は停滞した。例えば、「リバート・ホール」は毎週イラク人演奏家の一人の公演を提供していたが、今ではホールには芸術も大衆も存在しない。
(後略)
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:伊牟田彬裕 )
( 記事ID:34787 )