次のような状況を想像してみて欲しい。あなたの〔家族・友人の中にいる〕腎不全患者が腎臓〔の機能〕を失ったために透析治療を受けざるを得ず、提供される腎臓が見つかることに一縷の望みを抱いて、日夜過ごしているとしよう。ところがそうした中、腎〔機能〕を失ったある外国人がまずはツーリストとして入国し、次に莫大な金銭をイラン人ブローカーに支払い、人間の臓器の密売業者に賄賂を使って、偽造書類を手に入れ、最終的にこの金持ちの外国人ツーリストが、移植用の臓器を手に入れるための長蛇の列に並ぶこともなく、「善意で提供された腎臓」をイラン人ドナーから受けとる、そうした状況をだ。
ぱっと見、こうしたことは映画の脚本のように思われるかもしれないが、しかしこれは、近年密かに国内の一部の病院で実際に起きていることなのである。そしてそれは、〔治療を〕もっとも必要としているイラン人患者の権利を踏みにじっているのである。
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昨日も、この苦々しい「劇」がもう一幕、上演された。すなわち、イラン在住のサウジアラビア人患者2名が、腎臓移植を受けようとしているとの報道に、われわれは接したのである。
ジャーメ・ジャム紙が追跡取材したところによると、この2人のサウジアラビア人患者はテヘランのとある私立病院に入院していたという。
「腎不全患者支援協会」の理事長はジャーメ・ジャム紙に、次のように説明している。
このサウジアラビア人患者2名はツーリストとして入国し、その後イラン人ブローカーを通じて身分証を偽って、自らをイラン市民と偽称した。2名は「イラン人」の腎臓を購入することを企てていたが、この計画が成功する前に患者1名が死亡、事の経緯がサウジアラビア大使館に知られ、問題がもちあがったために、最終的には2人目の患者もイランで腎臓移植手術を受けることはできなかった。
ガーセミー氏によれば、このツーリストは書類の偽造や移植用の腎臓の手配、手術のための費用として、3億トマーン〔※約1千万円〕を支払っているが、しかし患者のうちの1名が死亡したために、計画は頓挫したとのことである。
この情報は偶然、一人の患者の死によって発覚したものの、ガーセミー氏によれば、こうした出来事は今回の1件にのみ限られるものではなく、過去2年間でこうした違法行為は顕著なものとなっているという。「腎不全患者支援協会」の理事長によれば、マスコミに漏れることのまったくないケースも多く、何よりもこの件で問題なのは、保健省はこうした人間の臓器の密売業者に対して、毅然とした対応を取っていないことなのである。
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本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:TSTM )
( 記事ID:34815 )