村上春樹の最新作のトルコ語訳、まもなく発売―ジャン・エルキン氏訳
2014年08月12日付 Radikal 紙


ノーベル文学賞候補の常連である村上春樹氏の新作は、昨年日本で大旋風を巻き起こし、100万部を突破した。そのトルコ語訳版発売へのカウントダウンが始まった。

村上春樹の新作はイギリスとアメリカでは本日店頭に並ぶが、トルコでは10月に出版される。ドアン・キタプ社は、ヒュセイン・ジャン・エルキン教授の翻訳で読者に届けられる新作のタイトルが、『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年(トルコ語訳:Renksiz Tsukuru Tazaki’nin Hac Yılları)』であることを発表した。ジュムフリイェト紙のアスル・ウルシャーヒン氏が出版関係者から入手した情報によると、小説の翻訳は終盤に近づいており、同時並行で編集も行っているという。

エルキン教授は、アンカラ大学の言語・歴史地理学部の日本語・日本文学学科で教鞭をとっており、『1Q84』をふくめ計4冊、村上春樹氏の作品を翻訳している。

■「色彩をもたない」人生の回顧と出発

小説は、喪失感と孤独感を乗り越えようとする一人の青年の物語である。主人公の多崎つくるは高校でそれぞれ名前に色名を含む4人の友人がいた。ただ彼にだけ名前に色が含まれておらず、大学時代に親友たちからのけ者にされる。彼は36歳になっても空虚で灰色な生活を送っていた。物語は「大学二年生の七月から、その翌年の一月にかけて、多崎つくるはほとんど死ぬことだけを考えて生きていた」という一文で始まる。*

■共感できる主人公

編集委員の吉村千彰氏は、「同書には村上春樹氏の名作『1Q84』のような「強いキャラクター」は現れないが、人生を取り戻そうと、過去にかかえたトラウマを乗り越えようとする主人公多崎に共感した」と評した。**

■限定200名にサイン

村上氏は、8月30日にロンドンの大型書店ウォーターストーンでサイン会を行う予定である。限定200名の会の参列者は「インターネットより申込み」で決定した。

原題『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』は、2013年に日本の年間ベストセラー1位となった。同書は半年で105万部発行された。


【出典に関する訳注】
* 『色彩を持たない多崎つくると巡礼の年』、文藝春秋、2013年、p3から引用
**BOOK REVIEW: New Murakami novel story of man who tries to overcome his past-The Asahi Shimbunからの引用、翻訳か。(記事には明記されていない)




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:小幡あい )
( 記事ID:35046 )