性別分離は女性を家に帰すための序曲
2014年08月06日付 Mardomsalari 紙
※訳注:以下のコラムは、7月中旬にガーリーバーフ・テヘラン市長が「男女を別々のオフィスで仕事をさせるよう」、市に通達を出したことに対し、イラン国内外のメディアや要人の間で、職場における性別分離政策だとして、賛否両論が沸き起こったことを背景としたものである。一部メディアの報道によれば、通達の内容は一部の職種には女性を使わないよう指示するものだったとされたが、ガーリーバーフ市長は男女が別の空間で仕事ができるよう指示を出したにすぎないと釈明している。
【ファフロッサーダート・モフタシャミープール】
職場で女性と男性を分離することは、反体制プロパガンダの正しさを示す実例となる。というのも、外国メディアはつねに、女性たちが社会で活動する機会が奪われていると示すことで、〔イラン・イスラーム共和国体制の〕イメージ悪化を試みてきたからだ。そして〔テヘラン〕市の今回の通達は、このプロパガンダが正しいことを認めるものとなるのである。
われわれはつねに、国際会議の場で、女性たちがイスラーム的な服装をして、さまざまな領域に進出していることを擁護してきた。ところが、このような通達が出された今、〔イランの〕イメージを悪化させようとする動きに対して、どのような説明があり得るというのだろうか。職場における性別分離は、一つの侮辱的政策である。こうした行為は、女性に対してのみならず、男性に対しても侮辱的である。彼らには職場で自己抑制ができないということを、それは意味しているからだ。
イスラーム革命の勝利から35年が経ち、われわれは革命初期の時代の一部の人々の見解に後戻りしつつあるようだ。まるで彼らは、他の国々にいる思想的な仲間たち〔※サウジアラビアをはじめとするペルシア湾岸の「反動的な」国々の指導者たちを指していると思われる〕に遅れを取るまいとしているかのようだ。彼らには女性の地位や尊厳が認識できないばかりか、人間の地位や尊厳に対しても関心がない。
一部の問題の提起は、それ自体一つの政治的行為であると考えられる。一部の人たちはこうしたことをすることで、自身の出身母体と考えられるグループへの接近を考えている。もちろん、こうした行為は社会一般の人々が、こうした人々の考え方をより詳しく知るきっかけとなろう。
※訳注:ここで「一部の人たち」とはガーリーバーフ・テヘラン市長のような「原理派の」人々のことを指し、「自身の出身母体と考えられるグループ」とは、ガーリーバーフがかつて所属していた革命防衛隊のことを指す。「原理派」と呼ばれる保守強硬派は、反動的な政策によって革命防衛隊の歓心を買おうと考えているにすぎない、しかしそれは一般国民が「原理派」の反動性を知るきっかけとなり、むしろ国民の不評を買うだろう、と筆者は指摘している。
職場における性別分離のごとき計画を実施することは、イマーム〔・ホメイニー〕閣下の見方にも反するものである。イマーム閣下は大学における男女の分離計画に強く反対され、極めて開明的で、時代と環境に合った立場を取られた。「最高指導者の指導に忠実であること」を掲げる人々〔※原理派の人々〕には、イマーム閣下の見方にもっと注意を払うよう期待する。
イスラーム革命が勝利を収めた当初より、女性たちは積極的に社会参加してきた。ちょうど男性たちがそれより前に、数百万人規模の〔反王制〕デモに参加していたように。
職場における性別分離は、〔職場の〕健全化にはまずつながらないだろう。むしろ、社会が自然な変化の道筋から外れるきっかけとなり、さらには好ましくない結果をもたらすこともあり得るだろう。私たちはイスラーム的な国である。それゆえ、私たちは国際的な条約にコミットし、人々の尊厳を守るべきである。もし本当に、女性と男性の職場における分離を提起している人たちに理があるのなら、一般市民が何を考えているのかを知るために、彼らは世論調査でもしてみるのがいいだろう。
このような案の正体は、すでに明白である。こうした案に抵抗する必要がある。というのも、こうした案は女性たちを家に帰すための序曲であり、社会の今ある状況と矛盾しているからである。イラン社会は成熟した社会であり、多くの女性たちは高い教養レベルを有している。国会にいる女性議員たちは、こうした案に反対の立場を取り、一部の人間の好みが社会全体に広まるのを防ぐべきだ。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:35073 )