■イエメン、再び音楽禁止の時代へ
【サナア:アリー・サーリム】
人気歌手ナビール・ウムーシュ氏がイエメンのアムラーン市の結婚式場で歌を披露していると、武装した二人の男がホールに突入し、ウムーシュ氏に向かってきた。二人は彼をスタジアムまで連行した。そこは(イスラーム)組織「アンサール・アッラー」が今年の7月に同市を制圧して以来、牢屋として使用されてきた場所であった。
アムラーン県はサアダ県に次いで二番目に武装集団に制圧され、歌が禁止された県である。住民や同地域を訪れたジャーナリストは「サアダ県のローカルラジオは音楽ではなく宗教を讃えた歌を放送し、時にはファイルーズの『ああエルサレム』しか流れないこともある」と語った。また「武装集団はカセットテープやCDを売る店を閉店させ、一部の音楽家の楽器を粉々にした」と指摘した。
ウムーシュ氏は本紙に、拘束された際の状況を物語った。それによると、武装集団は彼が「アンサール・アッラー」の支配が及ぶ地域では歌唱をしない、と書かれた誓約書にサインするまで解放しなかった。また彼は、「彼らは僕に歌は禁止されていると伝えたが、そんな命令や風潮があるなんて知らない」と語った。
結婚式での歌唱は、イエメンにおいて男女を問わず多くの歌手にとっての収入源である。ウムーシュ氏は生活費を稼ぐためサナアに引っ越したことを指摘しつつ、自身を拘束した集団に、家族を養うための代わりの仕事を提供するように要求したと述べた。しかし、今やこの都市は「アンサール・アッラー」の支配に落ちたことで脅かされている。イエメン軍は、武装集団が先週火曜日から首都の前線で野営していることを認めている。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:伊牟田彬裕 )
( 記事ID:35149 )