■パレスチナ人拘留者たちの病状はイスラエルがしかるべき治療を放棄する中で悪化の一途をたどる
【ラマッラ:本紙】
パレスチナ人拘留者支援協会は昨日(6日)の声明において、アシュケロン刑務所当局が、7回にわたり終身刑判決を言い渡して拘留中のムハンマド・ハミース・バラーシュ氏の病状が急変したために氏を急遽救急車でバルジライ病院へ移送したことを明らかにした。
カリーム・アジュワ協会顧問弁護士によれば、バラーシュ氏は呼吸困難と心臓疾患の問題を抱えており、耳は聞こえにくく、目も見えず、左目は角膜移植の必要があり、他にも深刻な健康問題をいくつも抱えている。さらに同弁護士は付け加えて、バラーシュ氏はラマッラ近郊のアムアリー難民キャンプ出身であり、また左足を失っていて義足の装着が必要であるにもかかわらず、イスラエル刑務所当局がそうすることを許可しない、と述べた。
またアジュワ弁護士は、パレスチナ人拘留者たちを代表するナーセル・アブー・ハミード氏のメッセージを発表した。メッセージは「獄中の拘留者一同が、数年来刑務所医療当局の怠慢に晒されてきたバラーシュ氏の命の危険についてきわめて憂慮してきたが、ついに病状の悪化は命の危険におよぶところまできた」と述べるとともに、彼の命を救うための緊急かつ迅速な介入を求めた。
またパレスチナ人拘留者支援協会の別の顧問弁護士のハナーン・ハティーブ氏によれば、現在疾病状態の拘留者18人がラムレー病院に閉じ込められており、イスラエル刑務所管理当局が適切な治療を施す実質的な対応を遺棄しているために、彼らの健康状態は日に日に悪化している。ハティーブ弁護士はさらに、ベツレヘム住民で6月から逮捕・拘留されているアドナーン・アブドゥッラー・ムフシン氏についても言及した。ムフシン氏は身体に障害をかかえており、車椅子なしでは動けない。同弁護士が引用したムフシン氏自身の言葉によれば、彼は背中に埋めたプラチナのせいで背中と足に激しい痛みがあり、指は動かず、手を開くこともできないという。
ハティーブ弁護士はさらに、拘留者のラビーウ・リズク・サビーフ氏にふれた。氏は心筋の炎症と心臓弁にしこりができており、そのため激しい痛みに苦しみ、呼吸する力も弱く、体重は13kgも減ってしまっている。
ハティーブ弁護士はまた、ナーブルス出身の拘留者のアシュラフ・ムヒーブ・アブー・フダー氏の体調が非常に危険な状態にある点も指摘した。事の発端は、同氏が去る4月6日に逮捕された際に背中と脊椎、骨盤に銃弾を受けて負傷したことにあり、それがもとで身体麻痺状態に陥り、彼はもはや電動椅子なしでは移動することもできない。
一方パレスチナ人拘留者支援協会の声明は、レイムーン刑務所に拘留されているムハンマド・ファフミー・リーマーウィー氏を取り上げ、同氏が「家族性地中海熱を患っているため発熱と関節の痛みと呼吸困難に苦しんでいる」ことを指摘し、彼の健康状態はきわめて危険の度合いを増していると述べた。
同声明は「この病気は非常に危険なものであり、人体を襲うと肺の細胞の中で繁殖して激しい出血を伴う」との協会顧問弁護士の言葉を引用しながら、「リーマーウィー氏はもはや右手を動かせず、両脚の感覚もなくなりはじめていることからして身体麻痺の危険性にさらされており、氏の体重も急激に減ってきている」と付け加えた。
同声明によれば、ムハンマド・リーマーウィー氏は4回にわたり終身刑判決を受けてイスラエル刑務所に拘留され続けており、4年前にこの病気が発症したが適切な治療を受けられず、それ以来同氏はこの病に苦しみ続けてきたのである。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:山岡麻子 )
( 記事ID:35287 )