ロウハーニー大統領のニューヨーク訪問を分析する(上)
2014年09月30日付 Mardomsalari 紙

【アリー・ベイグデリー博士】

 総じて言うならば、前回のロウハーニー氏のニューヨーク訪問は、選挙宣伝で同氏が訴えたスローガンやメッセージ、特に市民の権利や人権の遵守、マイノリティの権利保護などが理由で、ヨーロッパ社会や国際機関の受けが良かった。また、アフマディーネジャード大統領時代、我が国の外交政策は完全に凍り付いてしまっていたことから、これらのメッセージには我々の外交政策の領域にもう一度かつての光を取り戻し、それを大いに輝かせるだけの力があった。

 以上の理由から、初めてのニューヨーク訪問では、西洋諸国は彼を熱烈に総会に迎え入れたし、NGOも大変な関心を持って彼にインタビューをしたのだった。そしてそのその結果として、最終的にオバマ氏が個人的にロウハーニー氏に電話連絡をするに至ったのである。

 しかし、2回目の訪問では、以前の輝きは失われていた。なぜなら、ロウハーニー氏の訪問の直前に、人権が守られていないという理由から国連事務総長が苦言を呈し、また国際原子力機関もイランの状況に対して不満を報告したからである。つまり、第二回目の訪問は初っぱなからすでに、これら2つの報告が影を落とす中で行われたものだったのである。

 今回の訪問では、2つの基本的テーマが、その後の大統領の演説やコメントで俎上に載せられた。一つは、ダーイシュ(イスラーム国)問題とそれが引き起こしている危機についてであり、大統領は、この現象は西洋諸国のかつての不適切な行動にその原因があると指摘した。

 もう一つは核問題であり、大統領は、これをめぐる交渉は大変な時間を要するものではあるものの、もしこの交渉の背後に強い意志が存在し、少しでも勇気が示されるならば、必ず好ましい解決策が見つかるはずであり、双方にとって満足のいく結果が得られるだろうとの見方を示した。

 ただ残念なのは、イラン大統領とイギリス首相との〔歴史的な〕会談にもかかわらず、外交上の礼儀を欠いたデイヴィット・キャメロン氏の無責任な発言が、〔国連外交の〕雰囲気に多少なりとも影響したことである。今回の訪問に対して抱かれていた期待は、残念ながら、デイヴィッド・キャメロン氏の不快な行動と、同氏が示した不適切な発言によって〔挫かれてしまい〕、訪問〔の雰囲気〕をある程度まで寒々しいものとしてしまった。そして、西洋諸国までも含めたあらゆる関係者が抱いていた期待は、いずれにせよ裏切られる結果となったのである。

※訳注:「キャメロン氏の無責任な発言」とは、革命以来初となるイラン・イギリス首脳会談が国連総会の傍らで行われたにもかかわらず、その翌日、キャメロン英首相が国連総会での演説で、テロ支援や人権侵害などを理由に、イランを名指しで非難したことを指している。

つづく




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:FM791 )
( 記事ID:35541 )