「アレヴィー虐殺」デルスィム謝罪でCHP混乱
2014年11月14日付 Milliyet 紙


タンルクル共和人民党(CHP)副党首があるテレビ番組で、デルスィム虐殺事件に対しCHPの名のもと謝罪をしたことは党内の国家主義派から強い反発を招いた。

セズギン・タンルクルCHP副党首は、昨日デルスィム事件に関して「CHPの名のもと謝罪する」と発言したことは、党内の新たな論争の火種となった。(党内の)国家主義派は、タンルクル副党首の謝罪に強く反発し、ウシャク県出のディレキ・アカギュン・ユルマズ国会議員は「彼は(自身の発言と)関連のある場所へ行くべきであり、それはCHPではない」と話した。またイズミル県出のビルギュン・アイマン・ギュレル国会議員はこの件に関して、「クルド民族の反乱」に言及したコミュニスト・インターナショナル(コミンテルン)の1937年発行の機関紙に言及した。入手された情報によると、CHP幹部は近いうちにデルスィム事件に関するすべての国家資料の開示を含む法案をトルコ大国民議会(TBMM)議長に提出する手筈を整えているという。
CHPのタンルクル副党首は昨日あるテレビ番組で以下のように発言し、2年振りに党内でデルスィム論争を巻き起こした。「政治団体に課された任務は次のようなことだ。『なかっただろう』ということをいかに白日のもとに晒すか、ということである。われわれは公文書を開示する。歴史を現代で清算し、問題と向き合わなければならない。歴史を清算するということにおいて、われわれは未経験の国だ。問題はそこにある。これは政治的材料として利用されている。『CHPはこれをした。謝罪すべきだ』(という声もある)。私は一度謝罪する。CHPの名のもとに謝罪する。われわれの党首は、この行いの被害者だ。被害者からどういった謝罪を期待しているのだ。CHPの名のもと、亡くなったすべての人々、国外追放されたすべての人々、そして嘆き悲しんだすべての人々に謝罪する。(しかし)今私が謝罪したことで問題は終結しただろうか。問題について議論をやめ、話し合うこともなく、問題は終結したのか。そもそもこれが問題なのか。これは、歴史上最大のトラウマだ。この共和国の負の遺産も良い遺産もみなに、エルドアン大統領に、そしてAKPに関係している。しかし負の遺産はCHPに関係しているというようなことが、果たしてあるだろうか。これは正しいやり方ではない。」

■「つながりのある場所はCHPではない」

タンルクル副党首のこの発言に関して、ミッリイェト紙にコメントしたウシャク県出のディレキ・アカギュン・ユルマズCHP所属国会議員は以下のように述べた。「デルスィム事件に関して謝罪すべきなのはCHPではなく、この反乱を扇動し死者を出した帝国主義体制とその協力者たちである。われわれがこの事件に関与したとは考えていない。CHPの歴史を知らずして、侮辱的な発言をすることは間違いである。(CHPは)セズギン氏がいるべき政党ではないと私は思っている。彼は根本から自身を見直し、いるべき場所に行くことになるだろう。私はそう予見している。関連のある場所へ行くべきであり、それはCHPではない。こうした私の考えは、メフメト・ベカロール氏やムラト・オズチェリキ氏からも賛同を得ている。CHPの理念にこれほどまでに否定的なアプローチをした者たちは、自ら責任を問うべきだ。」
またイズミル県出のビルギュン・アイマン・ギュレル国会議員は、ソーシャルメディア上で「何のための謝罪合戦?」という言葉でコミュニスト・インターナショナルの機関紙「ルントシャウ」の1937年7月29日付の記事を紹介した。ギュレル国会議員は関連のある記事における「2ヶ月以上前からアンカラ政府は、デルスィム地域のクルド民族による新たな反乱の鎮圧を行っている。地主らは自身の経営下や司法関係者らの下にいる民衆から、仕事に来ているかのごとく徴税している。地域の若者たちの大部分は、徴兵に向かう場所で民族の首長らの警備組織に用心棒として加入している」という文章を抜粋した。

■「私は謝罪していない」

メルスィン県出のアリ・ルザ・オズチュルク国会議員は、以下のように話した。「私は謝罪していない。どの国の歴史においても、建国時に経験された痛みや喜ばしい事件は存在する。それらの事件がいかなるものであったか、具体的に公表することは必要だ。それらの事件を検討する際は、2015年現在の視点からではなく、1930年当時の条件で検討するべきだ。このような痛ましい事件が、政治的な取引材料として利用されることには反対である。毎回歴史について言い争いながら政治を行うことは間違いだ。謝罪は何も意味しておらず、重要なのは同じことを繰り返さないことだ。しかし、これ以上にひどいことが今トルコでは起きているのだ。」

■ハムザチェビ氏は支持した

アキフ・ハムザチェビCHPグループ長は、タンルクル副党首がデルスィムで起きた痛ましい事件に対して感情を表現したと述べ、以下のようにコメントした。「共和国政府と(歴史を)清算することや、偉大なる建国者アタテュルクと関係のあることとして発表することは確実に間違いであると私は思う。当時は単独政党の時代だった。そして当時の首相はジェラル・バヤル氏であった。バヤル氏はその後民主党(DP)を結党した。そしてその後は大統領となった。しかしだからと言って、『責任を問われるべきはCHPではなく、DPだ』と言うことがどれほど間違いであろうと、それ以外で検討することも同じく間違いである。それは国家の判断だ。確かにそこでは大きな痛みが経験された。この痛みを経験したのならば、そしてこの事件と関わった人々の感情を表現しているのであれば、(タンルクル副党首の謝罪発言を)否定的に評価することは間違いだ。」

■「政治的な目的がある」

ハタイ県出のレフィク・エルユルマズCHP所属国会議員は、以下のように発言している。「デルスィム事件の責任を問うべき存在として、CHPを担ぎ出そうとしているグループがいるようだ。これは国家も巻き込む問題である。この問題をやたらと蒸し返して世論に訴えかけることは、政治的な目的があると私は考える。」

■すべての文書はTBMMに提出されるべきだ

入手された情報によると、CHP幹部らは数日前にTBMM議長にデルスィム事件に関係するあらゆる種類の情報や文書を所有する、参謀司令本部を始めとするすべての市民団体や大学、そして個人がそれらの文書をTBMMに提出することを内容として含む法案を提出しており、現在はこの法案の校正作業を進めているという。この法案の提出理由を述べた部分には、「デルスィム事件があらゆる角度から検証され、客観的なデータから検討されるために、この事件と関連のある公的資料の特徴を有するあらゆる種類の情報や文書が記載された公文書が、国会議員や研究者、そして市民に開示されることは、過去と向き合う重要な一歩となるだろう」と記述されている。この法案に続き、CHP幹部らはトゥンジェリという県名をデルスィムに変更するという内容を含む法案の校正作業を行う予定であることが伝えられた。

■ツイッター上での対立

シャーヒン・メンギュ元国会議員はタンルクル副党首の謝罪発言直後、ツイッターに「タンルクル副党首よ、君はいかなる権限をもってしてCHPの名のもとに謝罪しているのか?君は何様なのだ、この恥さらしめ」と書き込んだ。メンギュ元国会議員のこのツイートに対してタンルクル副党首は、「沈黙は美徳なり」と返信した。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:35868 )