コラム:バグダーディーによる偽りのカリフ制
2014年11月27日付 al-Quds al-Arabi 紙
■バグダーディーによる偽りのカリフ制:赤く染まるその歴史
【マフムード・タルシュービー】
「イスラーム国」とその指導部はすでに大きな注目を集めている。今週だけでも、「イラクとシャームのイスラーム国」がリビアの沿岸部の町を掌握したと多数報じられた。また、イスラーム国は、彼らの戦闘員の恐ろしい動画を公開した。戦闘員らは、以前米軍で「短期間の戦闘訓練を受けた軍人」で、人道支援活動家になったピーター・カシグ氏の頭を刀で切り刻んでおり、そばには捕虜となったクルド人戦闘員数十名の頭部があった。イスラーム国はここに存続しており、かつてのアル=カーイダのように一時的に消えてしまうようなことはない。イスラームの過激主義の問題に詳しい、アクロン大学のカール・クラッテンセイラー教授は、以下のように述べた。「彼らが伝えたいメッセージとは、彼らは敵に対しては残酷であるということ、そして彼らは正しいことをしているということである」。
米国はイスラーム国に装備、武器、弾薬を供給し、またイラク軍が背走してイスラーム国が同軍を補足したとの嘘をついた。以上によってその正体が知れ渡っているにもかかわらず、イスラーム国は世界中にあふれ出ている。あらゆるメディアがこのことを報じたが、イスラーム国はなんら弁明を行っていない。その後、弾薬が底をつきそうになったとき、米国は武器と弾薬の追加供給を行ったが、発表ではこれらが間違ってイスラーム国に届いてしまったのだとされた。米国人の政治家2名は、メディアがその役割を果たさなければ、戦争は長引くとの声明を出したが、イスラーム国は米国とその同盟国に代わって、ムスリムを殺すという役割を担い、イスラームを歪曲(わいきょく)した。これらの行為はなんと罪深いことか!
「イスラーム国」は数日前、「イスラーム解放党」の党員1名を「背教」の疑いで処刑した。同党がムスリムの国におけるイスラームのカリフ制の実現を呼びかけているにもかかわらず、である。複数の活動家は、「イスラーム国」に処刑された青年はアブー・ウバイダと呼ばれ、アレッポ市出身であり、バーブ市で結婚していたと述べた。イスラーム国は5カ月前にバーブ市へ移動していた同青年を拘束し、同市において「背教」の罪で処刑したという。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:36044 )