火傷の運命を見つめる不安な眼差:元夫に酸をかけられた母娘の物語(3)
2014年11月25日付 Iran 紙
レイラーが酸をかけられた日
アリーは計略をめぐらせて、レイラーの工場を「封印する」(操業停止に追い込む)ことに成功した。レイラーは昨年のアーバーン月11日〔2013年11月2日〕、工場に対するこの封印を解いてもらうため、マラールド県サルアースィヤーブ市役所に出向いた。すると、そこに居合わせたアリーが彼女に襲い掛かり、彼女の首を絞めた。このときはまわりの人々が止めに入ったおかげで、レイラーはこの怒り狂った男の魔の手から、なんとか救い出されたのであった。
しかし、アリーは諦めなかった。彼は何度も、妻に酸をかけると脅し、ついにアーバーン月21日〔2013年11月2日〕、サルアースィヤーブ市役所でレイラーとその母親を見かけた際、「市役所前に自分もいる」という内容のショートメッセージを送りつけた。レイラーは、まさかアリーが本当に酸をかけるつもりだとは思っていなかったが、母親と一緒に市役所を後にした時、彼女が目の当たりにしたのは、酸が一杯に入ったオレンジ色の容器を持ったアリーの姿だった。
自分の足では逃げることができなかったレイラーは、手で顔を隠した。彼女は殴打されるのか、それとも顔に酸をかけられるのか、おびえるしかなかった。アリーは手を緩めることなく、容器に入った酸をレイラーの両手と左顔面に向けてふりかけた。この様子を見ていた彼女の母親も、何とかしようとしたものの、アリーの酸かけに巻き込まれてしまった。
已むことのないレイラーの心の痛み
レイラーは、テヘランにある殉教者モタッハリー病院で治療を受けた。治療を施すため、まず彼女の髪の毛が剃り落され、それから耳たぶが切除された。そしてその後、皮膚の移植手術が施された。
彼女は病床で、自分の顔を見ようとしたが、部屋には鏡がなかったため、病室の窓に近づいて、銅色に輝くサッシで自分の顔を見た。レイラーによれば、〔映った顔が自分の顔だと〕信じることは困難だったという。「自分でも、自分の顔が認識できなかったんです。しかし日一日と時が経つにつれて、この事件を受け入れるようになりました」。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:アナヒト )
( 記事ID:36106 )