■3つの戦線を閉じるためのエジプトの国防戦略
【サリーム・ナッサール】
エジプトでは、歴史はいつも繰り返される。アンワール・サーダート元大統領が「ムスリム同胞団」を釈放し、彼らと協力して、政策を混乱させたナセル主義潮流に対抗したように。そして今週、拘束されているフスニー・ムバーラク元大統領とその2人の息子、そしてハビーブ・アーディリー元内務大臣が、デモ参加者を殺害したとの容疑から無罪放免となったように。
判事が無罪判決を言い渡したとき、SNSサイトは、現政権を批判し、民間人と軍人からなる前与党の支持者を懐柔しようとするアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領を非難するコメントと反応であふれ返った。これらはすべて、エジプト諸都市の街頭やシナイ半島の砂漠各地において「同胞団」幹部が開始した反乱の波に対抗するためである。
情報分析家らは、カイロの街頭を埋め尽くしたデモは、第一に「同胞団」、第二に革命青年勢力、さらに度重なる衝突によって親族を失った抗議者らが混ざり合って参加したものだと述べる。警察官らは、大学のキャンパスにいる学生の数が大きく増加したと見るが、これはデモ参加者が街頭から大学のキャンパスへと抗議の場を移しつつあることを意味する。
このような変化は、大学の学期を中断させるのみならず、デモ参加者らが放水銃や催涙ガスから逃れて研究所の構内に逃げ込むようになる。そして終には、報復行為がエスカレートし、スィースィー大統領が暴力的な手段をとることになる。
確かなのは、「ムスリム同胞団」が、秘密細胞組織の再活性化と暗殺作戦の再開を目的に、不安、暴力、混乱が渦巻く状況を利用していることである。これは、王政、あるいは軍事共和制の時代に、運動の発展とともに現れた作戦である。
火曜(2日)朝、フスニー・ムバーラク元大統領の支持者らは、同大統領を無罪とする裁判所の判決に驚かされた。裁判所は、ヒシャーム・バラカート検事総長がカイロ刑事裁判所に対し異議申し立てを行ったと発表したが、複数の分析家は、再び告訴が行われ、再審手続きが実施される可能性があるとみている。
(後略)
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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:36109 )