モロッコ:多くの逸話を持つマラケシュのバーヒヤ宮殿
2015年03月15日付 al-Hayat 紙
■全ての柱に逸話がある︎マラケシュのバーヒヤ宮殿
【マラケシュ:バディーア・ザイダーン】
モロッコのマラケシュ市にあるバーヒヤ宮殿は、全ての柱が逸話を持っている。この宮殿は、かつて宰相アブー・アフマド・ブン・イーサーの邸宅であった。彼は、まだ若いアブドゥルアズィーズ国王の摂政であったことから、「バー・ハマド」、あるいは「大宰相」と呼ばれていた。同国王は、12歳に満たない若さで父であるハサン一世の後を継ぎ、モロッコの歴史に見られた様々な文化を反映した政策を行った。
バーヒヤ宮殿のガイドの一人が本紙に語ったところでは、バー・ハマドには4人の妻と24人の妾がおり、その内、寵愛していた妻の1人の名に因み、宮殿を「バーヒヤ」と名付けた。「大宰相」は背が低く肥満であり、階段の昇降が面倒であったため、父が平家の宮殿を建てることを決めたが、その父は宮殿の完成前に死んだ。驚かされたのは、バー・ハマドが警護の者を去勢し、目の見えない音楽家を選んで雇っていたことである。これによって、警護の者が自分の妻や妾に情意を持たず、音楽家も彼女らを見ることはない、というわけだ。宮殿には6,000人以上の人間が仕えていたことが知られるが、彼らが目の見えない者であったかどうかは不明である。
宮殿は5つの建物と、バー・ハマドの妻や妾たち用、客人用、彼の個人用の3つの庭からなり、その大きさは数百ヘクタールにおよぶ。興味深いことに、宮殿全体に手作業によるスギを使った装飾が施されており、屋根にはビショップ・ウッドと呼ばれる赤木が150本使用されている。材木は、本来の色彩を生かした上で、ヘンナやサフランといった植物、ザクロの皮による装飾がなされており、各地にあったものがマラケシュに集められた。また、石こう部分の至る場所には描画が見られ、モロッコで「卵白」や「サフランが混ざった卵黄」と呼ばれる「大理石の破片」が散りばめられている。
(中略)
現在、マラケシュの観光地となったバーヒヤ宮殿を、多くの国内外の映画監督が撮影のロケ地として活用していることにも触れておこう。有名な作品として、『アリババと40人の盗賊』、『カサブランカ』、『ヒッチコック』などがあり、近年ではシリアのTVドラマ・シリーズも同所で撮影された。
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( 翻訳者:メディア翻訳アラビア語班 )
( 記事ID:37123 )