■宗派主義に陥るイエメンの大学
【サナア:アリー・サーリム】
イエメンの大学は地域的、地域狂信主義や宗派主義の台頭をかき立て、大学教育を民主主義へのプロセスのもう一つの障害とするような伝統的な文化的価値の確立に専念している。サナア大学の学生アイマン・サイード(24歳)は彼の大学教授たちを嘲るとともにいぶかった。「これは大学なのか、それとも兵舎なのか、それとも狂信主義者養成所か?」
アイマンの大学や教授に対する嘲笑というのは、彼らの一部が、クーデターを起こしたフーシ派がアデンやイエメン各地で起こしている戦闘を支持し、イラン支持の武装集団が政権に対して起こしたクーデターや国会の解散に沈黙していることに向けられたものだ。
民主主義や人権という価値観から出発した、障壁や国境の撤廃、民族間の親交関係の樹立というグローバリゼーションの論理とは逆に、イエメンの大学は公立、私立共に、この時点での展望と大学のダイナミズムから遠ざかり、地域狂信主義と全体主義の文化に巣食うものとなっているかの如くである。
また、女子大学院生バスマ・アブドゥルマリクは言う。「私たちは、大学教授陣がフーシ派を支持したのは、アフマル一族の支配を終わらせることが目的だからだと思った。しかし、彼らがクーデターを起こした民兵たちを支持し続けることで、大学教師たちの偏向的立場が部族武装集団の偏向的立場やあれやこれやの指導者への追従と変わらないということが判明した」。
イエメンの大学の文化変容を扱った最近の調査では、イエメン社会の伝統的文化と大学で優勢となっている文化の間には大差がないこと明らかになった。イッブ大学のアフマド・フブーブ教授が行った研究によると、「イエメンの大学は、停滞したマイナス面に表される社会を追随するものでしかなく、既存の地位を保守し文化変革に抗っている」とされている。
教授と学生は地域的、宗派的基盤の上にたつ既存の社会的・政治的闘争に巻き込まれている。1994年夏の内戦以来、地域的、宗派的傾向が高まり、それは大学にまで広がった。
(後略)
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:樫村早紀 )
( 記事ID:37414 )