コーラン・クルド語訳本問題の舞台裏
2015年05月09日付 Milliyet 紙

神学者でクルド学の研究を行うマルディン・アルトゥクル大学の元学長カドゥリ・ユルドゥルム人民の民主主義党(HDP)国会議員は、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領が会議で提示したコーランのクルド語訳本が、かつてエンサル財団によって出版されていたこと、綴りや文法を校正するため宗務庁によって自身のもとに送られてきたこと、そしてその校正作業を進めている間にこの訳本が出版されたことを明かした。またユルドゥルム国会議員は、メフメト・ギョルメズ宗務庁長官が一時期クルディスタンのマドラサで宗教教育を受けており、ある程度のクルド語は理解できるとも話した。

IMCテレビのテーマ討論番組で、エルドアン大統領が議題に示したコーランのクルド語訳本について見解を述べたユルドゥルム国会議員は、宗務庁によって発表された情報は正確ではないと話した。コーランの訳本はかつてエンサル財団によって出版されていると話した同氏は、綴りや文法の校正をするためギョルメズ宗務庁長官の申し入れを受けてその作業を行ったと明かした。ユルドゥルム国会議員は、コーランのクルド語訳本に関してギョルメズ宗務庁長官との間で交わした会話を以下のように説明した。

「数カ月前、宗務庁のメフメト・ギョルメズ長官と会話を交わした。彼のことは以前からよく知っている。彼はある程度のクルド語を話せる。一時期、クルディスタンのマドラサで宗教教育を受けたらしい。私たちの会話の主旨は今私が述べたこのコーランのクルド語訳本と、宗教財団刊行のイスラム百科事典になぜクルドの項目がないのか、ということであった。その内容は文書でも私に知らされた。彼らが私に伝えた内容は次のようなものだ。『われわれは以前エンサル財団によって出版されたコーランのクルド語訳本を、宗務庁の正式なものとして出版させたいと考えている。しかしクルド語の文法や綴り、そして翻訳スキルといった観点から、この訳本が保証されたものであるかどうかが確実ではない。君にクルド学者として精査してほしい。』私はこれを承諾したが、これはたかだか2、3ヶ月でできる仕事ではないと返答した。それが約半年前のことだ。私はクルド語の綴りや文法、そして翻訳スキルの観点からこの訳本の校正作業を始めた。大体3分の2程度の作業が終わり、残りの3分の1が未だ作業途中のままだ。クルド語の綴りという観点からも間違いはあるし、文法という観点からも間違いはある。そして翻訳スキルという観点からも間違いがあり、それらを一つ一つ修正して報告書に記載した。その後、宗務庁によってコーランの訳本が出版され、大統領によっても高々と掲げられる形で、やや政治的なプロパガンダとして利用されているのを目の当たりにした。」

■「首相は『利息付融資を行った』と話した」

アフメト・ダヴトオール首相がHDPをいたる所で宗教的な価値観から非難していると話したユルドゥルム国会議員は、さらに以下のように述べた。「われわれの党員は何か発言をする度に大変なことになるが、首相が何を言っても問題にはならない。ダヴトオール議員が首相になってから、トルコ国営放送(TRT) のニュースの生放送では『2002年は6300の自営業者に有利息の融資を行った。昨年は31万7000の自営業者に融資を行った。そして今日は100万の自営業者に有利息の融資を行った』と首相は話した。そしてそれに続けて『神に感謝を。これは問題ない』と言うのだ。いかなる宗教でもハラールではなく、それに関するファトゥワも存在しない。なぜなら利子は搾取の手段だからだ。働かずに生じる利益、つまり資本主義の一要素だ。いかなる宗教でもハラールではない利子を『問題ない』と言うことに対する宗教的な評価は『宗教からの逸脱』である。私は宗教から逸脱することを非難したりしない。しかし、もしこうしたことをわがセラハッティンHDP党首が言ったとしたら、つまり、彼自身が自営業者に有利息の融資を行い、『ハラールだ』と発言したとしたら、彼らはセラハッティンHDP党首をこれまで以上にその発言を根拠に非難すると私は確信している。しかし誰も立ち上がり、『首相、あなたは保守派の伝統主義でしたよね。コーランを信じていますよね。コーランは利息をハラームと言っていますが、あなたはハラールだと言う。これはなんともおかしなことではないですか』とは言わないのだ。」

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:37471 )