コラム:アラブ・イスラエル紛争の様相に変化
2015年05月16日付 al-Hayat 紙

■アラブ・イスラエル紛争を消し去ろうとするイスラエルの邪悪な試み

【バシール・アブドゥルファッターフ】

この半世紀以上、中東においては、政治闘争ゲームのルールを掌握しようとする陰謀や試み、戦略的回り道が、イスラエルに対するアラブの総意に甚大な影響を与えることはなかった。しかし、時間の経過とともに、1990年のイラクによるクウェート侵攻、あるいは2003年の英米によるバグダード占領という犯罪行為などを原因として、アラブの地域システムとして知られるものを崩壊させる暴力的、反動的振動が発生し、イスラエルと欧米による体系的な試みと計略が始まった。それは、敵方をかく乱しつつ、戦略的見積もりを再構築し、中東における地域的関係のコンパスを動かそうとする計略である。そして、中東諸国間の闘争と協調のバランスにおける伝統的形式を変更しようとする動きが、かつてなく勢いづいている。

その間、アラブ諸国ならびに域内のシステムにとっては危険な戦略的崩壊が発生しており、そのため、2011年初めのアラブ革命の動きは、この局面におけるイスラエルとアメリカの尽力に花を添えることになった。さまざまな戦略的諸条件の兆しが見え始め、そこにおけるイスラエルの位置が、アラブ諸国の間で苛烈な議論を巻き起こしている。背景としては、アラブ諸国の大部分にとって、イスラエルは、目的や動機は異なっても、戦略的協調パートナーとしての条件を満たしてしまうという事実がある。しかしここでは、相互に関連している二つの顕著な事象を集中的に見てみたい。そのうちの一つは、シリア危機とバッシャール・アサド体制に対する立場に表わされるものである。2011年、シリア国民による反体制蜂起が勃発し、それを鎮圧するため、同盟国イランの支持を得た体制側は、より残酷な形の殺戮と破壊を用いることに専心した。良心のかけらもなく、最低限の政治的、倫理的責任もないままに。その結果として起きた、バッシャール・アサド体制を打倒したいという多くのアラブ諸国の意思は、期せずして、シリアの国力を破壊しようとするイスラエルの邪悪な企てと合致した。イスラエルの見解によれば、いまだにシリアは、テルアビブにとって不倶戴天の敵であり、イランの重要な戦略的同盟国である。

(後略)

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( 翻訳者:飯塚遥奈 )
( 記事ID:37530 )