六月七日の総選挙での敗北後、ダヴトオール首相がエルドアン大統領の指示でバルコニー演説をおこなわざるを得なくなる中、公正発展党(AKP)の議員の間で混乱が起きた。ボディガードの助けによって当選3期目の議員が押し合いへし合いバルコニーへ向かう一方、新人には機会が与えられなかった。とある新人議員は「私たちは、ガードがいないからバルコニーに出られなかった」と反発を示した。
タラフ紙の報道によると、AKPがトルコの政界に加えたともいえるバルコニー演説だが、今回の総選挙では古参議員と新人議員間の争いの原因となった。アフメト・ダヴトオール首相はエルドアン大統領の意向で演説を行うと決めたものの、バルコニーに誰を出すかについては何の指示もしなかった。こうして、誰もが演説に出たがる状況となった。
バルコニーに出られる人数は限られるという係員の指示でベテラン議員と新人議員の間で押し合いへし合いに至る口論が生じた。しかし、口論では、ボディガードを付けているベテラン議員や党幹部に有利な状況となった。ボディガードの手助けで党内の3期目の議員ばかりが首相とバルコニーに出た一方、大勢の初当選議員は室内で演説を眺めるしかなかった。ある初当選のAKP議員は、この状況について「ボディガードたちは混雑をかき分けて、ベテラン議員をバルコニーへ送り出した。私たちにガードは付いていないので、外に出られなかった」と話した。
■演説にはいくつかの草稿を用意
ダヴトオール首相はバルコニー演説に向け、事前にいくつかの草稿を準備しており、その多くはAKPの勝利を前提として書かれたものだった。選挙結果を受け、バルコニー演説を中止する選択肢も浮上した。
大統領府からの指示があり、首相は演説を行わざるを得なくなったが、ここにきて「有権者不足」が発生した。選挙結果が悪かったため党員は党本部へ集まらず、党 幹部も有権者の移動に関して何の準備もしていなかった。そのため演説実施の決定を受け、大急ぎで有権者の確保が手配され、ケチオレン区とシンジャン区の党組織が動員された。大部分が市職員からなる観衆が急きょAKP本部へ移動し、首相のバルコニー演説を聴くこととなった。首相の演説内容は、党幹部からも不評だったという。
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( 翻訳者:川原田嘉子 )
( 記事ID:37809 )