ダーイシュは世界終末の幻想を追い求めている!(3)
2015年06月13日付 Jam-e Jam 紙
『ダービク』は「ハルマゲドン」の幼稚な模倣
ダービクは、シリアのとても小さな町である。この町は、軍事的な観点からすると、何ら特別な位置にはない。それでも、ダーイシュの軍隊はすさまじい執着心をもって、きわめて多大な犠牲を払ってまでも、この町を占領し、その後、小躍りして祝いの祭りをこの地で執り行ったのである。
彼らがダービクの占領に固執した理由は明らかに、ダーイシュの者たちが主張するハディース(預言者ムハンマドの言行録)にある。そのハディースは、アブー・フライラ〔※〕が預言者のものとして伝えたもので、スンナ派でもっとも有名なハディース集の一つである『ブハーリーの真正集』で語られている。
※訳注:預言者ムハンマドの教友の1人。スンナ派のハディース集でもっとも多くのハディースを伝えた人物。ただしウマイヤ朝の高官となったことから、シーア派では彼のハディースは否定されている。
このハディース(その正確さについては精査が必要だが)によれば、終末の日の前に、イスラーム教徒は不信仰者やローマ人たち—ダーイシュの者たちの考えでは、それはシリア軍であるという—とダービクで戦い、重大な損害を被るものの、この町を占領するだろうという。イスラーム教徒の中で殺される者たちは、イスラームの最高の殉教者だとされる。
ダーイシュの者たちはこのハディースに基づいて、自らの「ハルマゲドン」的思想を発展させている。そしてこの考え方は、世界の様々な地域にいる、一部のスンナ派イスラーム教徒の関心を引いているのである。
彼らは黒い旗を自らのものとして選んでいる。彼らの政治的分類では、ホラーサーン地方は重要な位置を占めている。というのも、一部のハディースは終末のときにこの地域およびその住民が果たす役割について語っているからだ。
彼らは『ダービク』の創刊号において、「イスラームのカリフ制」の復興について述べている。彼らの考えるカリフとは、アブーバクル・アル=バグダーディーのことで、ダーイシュの信仰と完全に一致する経歴と血統を有する者として紹介されている。彼らは彼のことを、「ハーシミー」(ハーシムの血を引く者)、「ラダウィー」(リダーの血を引く者)、「フサイニー」(フサインの血を引く者)、「クライシー」(クライシュの血を引く者)と紹介している〔※〕。
※訳注:管見の限りで、『ダービク創刊号』ではアル=バグダーディーは「アミールル=ムウミニーン(信徒たちの長)・アブーバクル・アル=フサイニー・アル=クライシー・アル=バグダーディー」等と呼ばれているが、「ハーシミー」「ラダウィー」の語は見当たらなかった。
アル=バグダーディーはまた、こうした信仰と一致する外見も有している。彼は、初めて世に出た公式の画像の中で、黒いターバンを頭に巻き、黒いマントを身体にまとっている。
ダーイシュの者たちは、自らの政府が威厳あるものであるかのように示唆するために、スンナ派が尊敬するかつてのカリフ制に関わるあらゆる要素を活用している。ウマイヤ朝からアッバース朝、はてにはオスマン朝まで。
彼らは「政治的指導(イマーマ)」の語を自らの思想の中で重要視しており、遠い先の未来に関しても計画があるかのようなふりをしている。彼らはこうした〔未来〕像を、スンナ派イスラーム教徒の間で宣伝しており、実際、彼らに対して最終戦争を呼びかけている。熟慮もなく、安易にやり過ごすようなことがあっては絶対にならない問題である。
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( 翻訳者:TKM )
( 記事ID:37938 )