倫理的良心が目覚めるとき
犯罪学者のナジャフィー=タヴァーナー博士は、次のような見方を示している。
この月に存在する精神性の雰囲気が、人々が違反行為に手を染めるのを抑える一つの要因となっている。
宗教的な記念日、さらにはお祭りの日やお祝いの日になると、人々は身も心も行事の挙行にかかりっきりになって、その他の問題に頭が回りづらくなる。また犯罪者たちが犯す犯罪の種類も、このような時期には変わる傾向にある。
ラマダーン月にも、同じことが言える。通常、窃盗や殺人、誘拐、暴行などは減る傾向にある。というのも、ラマダーン月やムハッラム月などの宗教的な時期に入ると、人々の宗教的信仰心は強化されるが、上記のような一部の犯罪もこのような信仰と関連しているからだ。
罪を犯す人の多くにも、倫理的な良心が存在し、この月を支配する雰囲気が、彼らになかにある倫理的な良心を目覚めさせる。彼らも社会の一般の人たちと同じように行動するようになるのだ。彼らの心から、一種の逸脱の汚れが洗い清められるのである。
こうした倫理的良心は人に寄りそう警察のように働き、人が自らの行動を注意するきっかけとなる。例えば、断食のできない人も、公衆の面前で断食破りをしようとはしない。なぜなら、社会に対して、自分を恥ずかしく思うからだ。
こうしたことは犯罪者にも当てはまる。彼らは、社会の人々が善いことをしているのをみると、悪しきことを犯すのを控えるようになるのだ。
この月には、人道的な行動も増え、利己心が利他心へと変わっていくのをはっきりと目にすることができる。私たちはラマダーン月とムハッラム月がもつ抑止効果を、他の月での非行の減少に活用すべきである。
信仰心の篤い人々は精神的なプレッシャーも小さい傾向に
【ファルバド・フェダーイー博士(精神科医)】
さまざまな研究が証明するように、どのイスラーム諸国でも、ラマダーン月に入ると、犯罪件数や社会問題が目に見えて減少する。
一部の研究が示すところでは、信仰心の篤い人は神を頼りとしていることから、彼らの感じる精神的なプレッシャーも小さいという。
信仰心の篤い人たちは様々な障碍や困難を神による試練と考え、この試練をしっかりとこなそうと努める。その結果、信仰心篤き人、そしてそれゆえに断食をよく守る人は、さまざまな困難にも絶望や無力感を感じることはなく、むしろより頑強でやる気に溢れた存在となるのである。なぜなら、彼らはそのような困難をも、神の試練をパスするための機会と捉えるからだ。
つづく
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( 翻訳者:TM )
( 記事ID:38150 )