■バーミンガム大学の最古のクルアーン写本
【ロンドン:マナール・ルトフィー】
イギリスのバーミンガム大学の研究者たちは、世界で最も古い、希少なクルアーン写本の一つを発見した。この希少な写本は、イスラーム初期の時代にさかのぼる。それは、西暦568年から645年の間、つまり預言者ムハンマド(彼の上に平安あれ)の没後二十年経たない時期*に書かれたと思われる。
写本の年代同定は放射性炭素年代測定法によるもので、写本はおおよそ1370年を経過していることが判明した。これにより、この写本がおそらく世界で最も古いクルアーンの写本とされることとなった。
この写本は、バーミンガム大学の図書館で100年以上所蔵されていた。この間、この写本は誰にも注意を向けられることなく、また預言者ムハンマド(彼の上に平安あれ)と正統カリフ時代にさかのぼるであろうとの疑問ももたれないまま所蔵されていたのである。
この写本は、他の中東地域の書物や文書と共に保管されており、写本の年代に疑問を持つ博士課程の学生たちの一人がこれを調査した際に、偶然発見された。そして、大学に対してこの写本の年代をより正確に把握するための分析を求めた。
大学の特別コレクションの責任者スーザン・ワラール氏は、研究者たちは「この文書がそれほどまで古いとは思いもよらなかった」とし、そして「大学が世界で最も古いと考えられるクルアーンの写本を所蔵していることは、非常に感銘すべきことである」と付け加えた。
写本の分析により、テキストは山羊か羊の皮に書かれており、世界で最も古いクルアーンのテキスト[の一部]であることが判明し、この写本年代の同定精度は95%であることが明らかとなった。
*訳注:預言者ムハンマドの没年は632年。610年頃から没するまで、預言者が神より受けたとされる啓示は、書記により断片的に記録されてきたが、650年ごろ第三代正統カリフ・ウスマーンが現在のクルアーンの形にまとめた。バーミンガム文書にクルアーンの一部があるとしたら、預言者と同時代の人物により記述された可能性が高い。クルアーンは、ウスマーン版が標準テキストとされ、それ以外のバージョンはカリフの命により焼却されたため、ウスマーン版以外のテキストが発見されるのは稀なことである。
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( 翻訳者:井森彬太 )
( 記事ID:38243 )