トルコが4月と6月に行った2つの国境税関検問所に関する修正により、国境において、検査無しの貨幣の流出入が始まった。イスラム国やヌスラ戦線を含むシリアでの反体制運動がトルコ・リラ使用に入った。トルコからの貨幣の流出入が容易になったことで、これらの組織がトルコ・リラを使用して存続に活かしている。
4月15日に行われた指示書による変更により、検問所の(国外からの)流入ポイントから、一切の申告無しに国内へ現金が持ち込まれる可能性が現れた。選挙のすぐ翌日にはというと、2万5千トルコ・リラと1万ユーロ相当の金銭を携帯して現金で(国外に)持ち出すことが許可された。この2つの修正はトルコの国境検問所をテロリストの財源確保[の方途となること]に導いた。
ジュムフリイェット紙記載のペリン・ウンケル氏の報道によれば、検問所からの現金の流出入について行われた修正は、シリアの反体制グループのトルコ・ リラ使用へと導いた。たとえ関係省庁が、(修正された)法が「ただ単に流入が自由な諸貨幣に関係する」と説明したとしても、修正が(貨幣の)出処に関するいかなる制約も取っていなかったがために、イスラム国からヌスラ戦線まで沢山の組織が国境を通じて貨幣の流出入を行うことを認めた。
■2つの指示書によって…
関税通商省は4月15日に行った指示書による修正により、検問所から一切の申請なしに国内に現金が持ち込まれるのを認めた。 選挙のすぐ翌日にはというと、2万5千トルコ・リラと1万ユーロ相当の金銭を携帯して現金で(国外に)持ち出すことが許可された。
指示書(による修正)に引き続き、シリアの諸組織は支配下地域でトルコ・リラを使うための計画を準備していることを伝えた。7月8日のニュースでは、シリア経済の疲弊を望む反体制グループがシリア・リラの代わりにトルコ・リラを使用する決定を下したことが明らかにされた。
これについての質問に解答した中央銀行の元幹部は、反体制派のトルコ・リラ使用と検問所の規制撤廃はお互いに関連していると述べた。
■銀行業務システムがない
(先の)幹部の説明によると、トルコに住在していない第3国の国民がトルコ・リラを安全であるとみなし、もし当人たちの国にも規制がなければ、彼らが売った財やサービスの代償として、トルコ・リラを使用することが出来る。すなわち、彼らはイスラム国、ヌスラ戦線、コバーニー、アサド体制の土地から来て、トルコでトルコ・リラで決済することが出来る。検問所通過に際し貨幣の出処を証明するといった制限がないために、手持ちの財貨を売って、或いは(トルコ)内部で受ける財政援助により南東部の諸県で人々の注意を引くことなく買い物ができるのである。
例えば、シリア北部のある地域でオリーブオイルが輸出される。その代金として、トルコ・リラが認められる。この金でガーズィアンテプからブーツ、洋服、小麦粉、パスタ、塩などを輸入することができる。シリアでは銀行業務システムが機能していないため、今回の法修正によって現金を用いて(の買い物)は簡単になった。集団でイスラム国や自由シリア軍に参加する人々は、キリスやガーズィアンテプから必要物資を得ることができる。戦闘をするものには、靴、食料、飲料が必要だ。長期的にみてこの地域で何が生じるのか分からないが、その時期までトルコ・リラの使用が60~70%に達すれば、新たに建設されるであろう政府の欲求を含めた通貨政策はトルコに依存することになり得るだろう。検問所は必要物資を賄うためトルコ・リラを使用している。石油も何らかの形でドルを使って国際市場で売っていた。今ではドルの代わりにトルコ・リラが使われている。
シリアのテロ集団のトルコにおける支援者はこの指示書を利用して、(テロ集団に)財政支援することができる。中央銀行の通貨政策を見ると、(トルコの)南東部での通貨量は最近も増えているようである。通貨発行量とは中央銀行が発行する紙幣と硬貨の総額をさす。
■200トルコ・リラの銀行券
通貨量は市場に出回る銀行券全体の総量を指す。例えば、休暇のためにお金を引き出すと、お金を引き出した場所で通貨量は下がる。このお金を(休暇に)行く場所で消費し、そこでそのお金は銀行システムに新たに組みこまれる。このようにして、休暇先で通貨量は増えるのである。システムは次のように機能している。
これらの中には5リラ札、10リラ札、20リラ札、50リラ札、100リラ札、200リラ札の銀行券がある。しかし、(トルコ)南東部ではより大きな通貨単位が機能している。100リラ札や200リラ札のように。例えば、国境から1万トルコ・リラが持ち出されたとして、より大きな単位の通貨を用いると一層小さなサイズになり、注意を引かずに(お金を)運ぶことができ、保管も容易になるなど。このため、この地域では大きな通貨単位が使われている。
中央銀行が公表した最新のデータによると、7月の総通貨発行量における急速な上昇が注目される。7月の初めの955億リラの通貨発行量は7月18日には1086億リラまでに上昇した。3月の終わりから6月、7月の頭にかけて約60億リラ上昇した。
■テロリストの財源確保
共和人民党(CHP)のイスタンブル選出のウムト・オラン氏が本紙に行った論評では、関税通商省の修正が(以下の)2つの重要な目的を持っていることに注目している。
・与党が長期間援助をしてきたシリアの反体制派武装グループの構成員は当局のこうした動きに連動して通貨の流れを管理下から外して、彼らに容易に活動できる場所を確保すること。
・借金の付け替えと動きが緩慢になってきた経済を活性化させるために、大量の外貨流入を必要とするトルコに対し、非公式な道からの外貨流入を進めること。
オラン氏は、国際収支統計のデータによると今年5ヶ月のうちにトルコに出処不明の89億ドルの貨幣が流入し、これらのうちの47億ドルが4月と5月に流入したとし、「公正発展党(AKP)政権と政府よりのメディアが声を合わせ大きな声で『公正発展党はイスラム国に決して援助しない』と声を上げたとしても、この修正のみを取り上げても、この主張に対する反証には十分である」と述べた。
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( 翻訳者:成田健司 )
( 記事ID:38291 )