■歴史から月へ
イブン・ハイサムは、光学、数学、天文学において、重要かつ高度な実績を残した。また、仮説と理論を証明するための緻密で客観的な実験による光と視覚に関する業績も卓越したものであった。これに関連して、イブン・ハイサムは調査研究で、今日の科学者らが採用するのと同様の科学的手法を進め、天文学に関する80の著書や書簡を残した。科学史学者らによれば、彼はその中で、惑星や月、天体とその側面の運行について説明した。
著書の内、96冊はそれらについて書かれた多様な歴史文献で、その内55冊を除いて消失を免れ、続く数世紀にわたって残ってきた。その内、光に関する本として、『月光』、『星明かり』、『太陽コロナと虹』、『燃える凹面鏡』、『燃える球体』、『月食の生成』、『影の形成』、『光の諸難題』、そして『風景の書』の名でよく知られる『光学の書』がある。
同様に、彼の著書の一部はラテン語に翻訳され、中世の多くの知識人や科学者に影響を与えた。ルネッサンス時代や啓蒙時代、彼は通常、ロジャー・ベーコンやルネ・デカルト、クリスティアーン・ホイヘンスらに、「アルハーゼン」の名で知られていた。
これらの資料全てをもとに、「国際天文学連合」は、月面の巨大な隕石のクレーターを、イブン・ハイサムにあやかり「アルハーゼン」と名付けた。同様に、59239番の小惑星も「アルハーゼン」と名付けられた。
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( 翻訳者:増澤奈央 )
( 記事ID:38492 )