シリア:パルミラの神殿、「ダーイシュ」による破壊を確認
2015年09月02日付 al-Hayat 紙
破壊の様子を示す衛星写真(AP)
破壊の様子を示す衛星写真(AP)

■パルミラの神殿、「ダーイシュ」による破壊を確認…「ユネスコ」は「人道に対する犯罪」とみなす

【ロンドン、パリ、ベイルート:本紙、AFP】

人工衛星が撮影した写真によってシリア、パルミラ市にあるベール 神殿が破壊されたことが明らかとなり、過激派組織「ダーイシュ」の制圧下にある古代都市の行く末について懸念が強まっている。国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は「ダーイシュ」が神殿を破壊したことを非難し、それを人類の「文明に対する許し難い罪」とみなした。UNESCOのイリナ・ボコヴァ事務局長は声明のなかで「深い悲しみ」を表明し、「この犯罪によっても4500年の歴史を消し去ることはできない」と述べた。

国際メディアの見出しを独占した神殿の破壊は怒りを巻き起こしたが、専門家によるとこれはまさに「ダーイシュ」が目論んでいたことだという。

「ダーイシュ」がシリアやイラクへの支配を拡大しようとする中で、5月に同組織がパルミラから政府軍を追放したが、この町では数十の遺跡が危険に直面している。過激派組織「ダーイシュ」は特に彫像を偶像崇拝につながる偶像であると見なして破棄しているが、遺物を破壊するだけではなく、それを闇市場で売りさばいたり、プロパガンダに利用したりしているとして非難されている。

国際連合訓練調査研究所(UNITAR)は「我々はベール神殿の主陣、及びそれに付随する列柱が破壊された事実を確認した」と述べ、「日曜(30日)の古代都市一帯を震撼させた爆発の後、人工衛星が撮影した写真に基づいてこの結論に辿り着いた」と述べた。

この神殿は、すなわち列柱に囲まれた長方形の平面形をもつが、8月27日に撮影された写真にはこの建造物がはっきりと写っている一方、月曜(31日)に撮影された他方の写真には破壊された建造物の周囲にある一部の柱しか写っていない。

約2000年前に建造された同神殿は、「UNESCO」の世界遺産リストに登録されたパルミラでも最も有名な神殿である。ダマスカスのマームーン・アブドゥルカリーム考古総局長が電話でAFP通信に語ったところによると、「神殿はシリアで最も美しい文化財の象徴であり、実際に訪れることができる最も美しい場所だった」という。「しかし私たちはそれを今、永久に失ってしまった」と付言した。

5月21日にパルミラを「ダーイシュ」が支配したことは、すぐさまパルミラの遺跡や史跡をめぐる懸念を巻き起こした。シリア政府は「ダーイシュ」が犯した「この野蛮な攻撃」を非難し、改めて「テロの撲滅」を訴えた。

シリア国営通信(SANA)が外務省情報筋の話として伝えたところによると「この野蛮な攻撃に危機感をもつシリアは、不正なタクフィール主義者のテロを撲滅するため、地域的、及び国際的安定と平和を保持に向けて協力して誠実な努力を尽くし、人類全ての文明・文化遺産を守るよう改めて訴えた。」

(後略)

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( 翻訳者:佐藤早於里 )
( 記事ID:38560 )