イスラエル:「パレスチナという名のものは存在しない」
2015年09月09日付 al-Hayat 紙

■「パレスチナという名のものは存在しない」

【ナザレ:本紙】

「占領?…そんなものはでたらめだ」、「パレスチナという名のものは存在しない」。これらの文句は、「ユダヤ・サマリア地区(西岸・エルサレム)入植者評議会」が特別なパンフレットの中に載せた「指導」の一部である。同パンフレットは近々、新学期開始のタイミングに合わせて、数万人の生徒や入植地の文化センター、またイスラエル各地の青年センターや大学に配布される予定だ。

同パンフレットには、「左翼団体の主張への対抗に役立つ」ためのイラスト付きの説明が含まれており、パレスチナと呼ばれるものの存在が否定され、占領を「でたらめ」と見なし、パレスチナ・イスラエル紛争に解決はないと断言している。さらに、「これまで多くの世界の指導者らが紛争の解決を試みてきた。しかし、解決に至るというイスラエルの誠実な願いにもかかわらず、事は容易にならなかった」と記されている。

また、このような記述もあった。「パレスチナという名の国家が存在したことは一度もない。間違いの根源は、ギリシャ時代にイスラエル領土をパレスチナと呼んだことにある。また、パレスチナ人とは、ユダヤ・サマリア地区に住むアラブ人を指す呼び名であり、イスラエル国家に住むアラブ人とは異なる。後者は全ての点においてイスラエル市民なのである」。

入植者がパレスチナ人に対して行っている「値札攻撃」(※一種のヘイト・クライム)と呼ばれる犯罪運動について、同パンフレットの編者らは、「過激主義者や犯罪者集団が、時折オリーブの木やアラブ人の所有物に危害を加えている。しかし、土地をめぐるアラブ人同士の内部紛争が原因で危害が加えられることもある」と説明している。

また、入植者評議会のユガール・ディルムーニー報道官は、若者たちに、左派団体へ抵抗する術を与えるべく本パンフレットを発行すると述べ、以下のように続けた。「我々は次世代を見つめている。我々の世代ではパレスチナ人との沈静化を実現できないであろうからだ。それ故、若い世代は正しい現実を知ることが大切であり、左翼団体が彼らを説き伏せようと使用しているような常套句に依存してはならない」。




※訳注「値札攻撃」(英語price tag policy):入植活動を阻害するパレスチナ人、イスラエル治安部隊らに「正当な対価を求める」として、過激なユダヤ原理主義入植者等によって行われる組織的な犯罪行為。イスラエル治安当局は見過ごす傾向が強い。

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( 翻訳者:栗原利枝 )
( 記事ID:38626 )