■難民受け入れと難民阻止の国際的決議のせめぎ合い
【ロンドン、ニューヨーク:本紙】
欧州委員会のジャン・クロード・ユンカー委員長とアンゲラ・メルケル独首相は昨日(9日)、欧州連合に対し16万人にのぼる難民の分割受け入れに向けて圧力を加えようと試みた。これは移民危機の解決策を見出すことを期待したものである。
しかし、移民受け入れに名乗り出ている西ヨーロッパ諸国と移民の目の前で受け入れの扉を閉ざす東ヨーロッパ諸国の間には、移民への対応に関して大きな温度差が存在し、後者では、ハンガリー、セルビア国境での治安部隊と移民の間の衝突などの結果を招いている。
これは今月末までには、安保理によって、ヨーロッパ諸国が移民の乗船する密航ボートの航行阻止を適法とする決議が採択されることになるという事態と併行して起こっている、しかしこの決議は国際水域に限られており、移民の乗船する密航ボートが出航するリビア領海水域を含んでいない。
内情に通じたニューヨークのある欧州外交官は、英国船とスペイン船が地中海で難民ボートの航行を阻止することについて国際的な正当性を認可させるため、英国政府が安全保障理事会に対し働きかけをしていると明らかにした。これは膨大な数の難民が欧州に移入するだろうという両国が抱える懸念に基づくものである。
安保理の外交官らは、この決議はリビアの主権を侵すものではない限りにおいて、障害なく決議は採択されるであろうと予測しているが、これは特に米露二国にとって非常にセンシティブな問題である。両国はリビアにおいて挙国統一政府が樹立されるまでは、いかなる介入もないとの立場をとっているからである。
(後略)
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( 翻訳者:青木優奈 )
( 記事ID:38635 )