コラム:ロシア機撃墜後のシャルムッシェイフの観光への打撃
2015年11月25日付 Al-Ahram 紙

■シャルムッシェイフにいつ観光は戻るのか?

【マクラム・ムハンマド・アフマド】

シャルムッシェイフそしてエジプトの観光地一般の状況を見ていると、心が沈んでくる。しばらく前まで、いろいろな国、宗教の何百万人もの旅行客でにぎわっていたあの美しいシャルムッシェイフが、通りはがらんとしており、ビーチには人気がなく、ホテルはそのほとんどが閉じてしまっており、町はからっぽだ。シーズンの始めには稼働率は90%で、繁盛を予想させていたのだが、ロシア機墜落の後、だれもがそこを去り、ついには1%に落ちてしまったのだ。

シャルムッシェイフは、エジプトの観光地では第一の場所であった。1600億エジプトポンドを超えていた投資は速いペースで倍増していた。これは、この町が観光地として世界の中で最も美しい町の一つであることを、そしてこれからの数年のうちに、世界一の観光地になる可能性を示すものであった。そこには、海、気候、魅力的な自然と、ほかにはない魅力がある。こうしたものが、この町をヨーロッパやロシアからやってくる観光客にとって、冬の一番の行先としていたのである。

たしかに、政府は今日の記者会見で、シャルムッシェイフの住民、投資家、諸施設で働く人々の、町の支援に対する要求にこたえた。そして保険、税、電気代などの負担を軽減すること、大枠からの変更を必要とする観光投資の貸付を見直すことを約束した。貸付に関しては、中期投資から長期投資へ移し、シャルムッシェイフの光が消えてしまわないようできる限りの努力が払われることになった。

エジプト政府とシャルムッシェイフのすべての関係者が直面している本当の挑戦とは、危機的な状況をできるだけ短くできるか否かであって、政府が保証という名において誰かのところから(金を)奪い取ることではないと私は思う。できる限り早く、シャルムッシェイフに活気が戻るように。より美しくより力強く、この町が再び立ち上がるように。

シャルムッシェイフは純粋にエジプトの作品といえるが、そこには特別な魅力がある。はかなさに抗う永遠の魅力。それは本物の偉業を特徴づけるものだ。ただそれには条件がある。それは全員が、ミルクがこぼれてしまったのを嘆くのをやめることだ。この町をより美しくより安全にすべく、そしてより多くのアラブの旅行客を呼ぶことができるよう、一丸となって真剣に助け合うのだ。この町の魅力は、アラブ人の家族を引き付けるような要素を、そしてさまざまな(芸術、音楽の)劇場、世界から多くのチームを呼ぶことのできる大きなスタジアム、伝統的な音楽の町専属のバンドなどを備えることで世界的な観光地として完成を遂げる。そうすることでエジプトのすべての町が専属のバンドを持ち、通りで演奏し、週に一度は人々が「音楽小屋」の周りを囲んでいた、あの美しい日々を取り戻すのだ。

私は問題の本質が政治的なものであることを知っている。しかしそれは別の話だ。

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( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:39232 )