アノニマス、トルコで5万台のコンピュータを掌中に
2015年12月26日付 Hurriyet 紙


ハッカー集団のアノニマスが、約10日ぶりのサイバー攻撃をトルコでコントロール下にあるパソコンを対象に実行した。DDos攻撃と呼ばれる方法により、5万台近いコンピューターが所有者の気づかぬ内にトルコのインターネットサイト上で攻撃を受けている。

トルコは今、サイバー攻撃の影響下にある。先週から公共サイトを対象に始まったサイバー攻撃は、一昨日(24日)と昨日(25日)から銀行を始めとする数多くのセクターを狙い続けている。昨日は、一部の銀行のインターネットサイトから操作を行うことができなかった。このサイバー攻撃を実行した者たちは、世界最大のハッカー集団であるアノニマスだ。現在に至るまで、数多くのウェブサイト上で妨害行為を引き起こしてきたアノニマスによる攻撃の背後には、「DDos(サービス妨害攻撃)」という攻撃手段が存在する。

■1つのコマンド

では、このDDos攻撃とは一体何か。DDos攻撃とは、インターネットページの容量を上回る通信量によりサイトに負荷を与える仕組みである。つまり、世界中の多くのコンピューターが攻撃を受けたウェブサイトに同時にアクセスしようとするのだ。これにより、本当にそのウェブサイトにアクセスしたい利用者らが、通信量の許容量オーバーによりサイトにアクセスすることができなくなる。何十万台ものコンピューターが同時に攻撃を行うことは、そのコンピューターの所有者も気づかぬ内にコンピューター内にインストールされたソフトウェアによって引き起こされている。強力なセキュリティーで保護されていない世界中のすべてのコンピューターが、このソフトウェアの影響を受ける可能性がある。これはあなたのコンピューターでも起こりうることなのだ!インターネット上で多種多様なサイトからダウンロードされたファイルとともにコンピューター内に侵入するこのソフトウェアは、みなさんのコンピューターを「ゾンビ・コンピューター」に変えてしまう。このソンビ・コンピューターは、アノニマスの「ボットネット」というネットワークを構成している。「ボットネット」は、アノニマスが何十万台ものコンピューターをたった1つのコマンドで操作することを可能にする。「攻撃」というコマンドが出された瞬間、トルコに何日間も影響を与え続けるサイバー攻撃が開始される。あなたの、私の、あるいはそのことに気づいてもいない何十万人もの人々のコンピューターが、このコマンドにより攻撃を実行し、アノニマス集団が標的とする対象へと向かうのだ。

■5万台のコンピューター

アノニマスによる直近の攻撃では、トルコに国内外から攻撃が行われた。アノニマスがトルコ国内のコンピューターにソフトウェアをインストールしたことは、以前にテレコミュニケーション通信庁(TİB)が行った調査により明らかとなった。11月に完了したこの調査によると、トルコにはアノニマスのコントロール下にあるコンピューターが5万台あるという。これらのコンピューターは、アノニマスが近年トルコを標的に行ったサイバー攻撃において能動的に利用されている。サイバーディフェンスを目的として国外からアクセスしてきた通信量を一定の割合で規制したとしても、トルコにある多くのゾンビ・コンピューターがアノニマスによって攻撃に利用される可能性がある。
ゾンビ・コンピューターの合計数という観点からも、トルコは現在世界で第4位だ。トレンドマイクロ社によれば、トルコには世界のコマンドコントロールの中心部に接続されたコンピューターの5%が存在しているという。トルコの上には、アメリカ、インドそして日本が並んでいる。

■2015年には2倍になった

サイバー攻撃が最も狙う標的の中に、会社が含まれる。サイバーセキュリティー会社であるカスペルスキー・ラボが出した2015年の年間レポートによると、「身代金要求型不正プログラム(クリプトロッカー)」は5万台以上の企業コンピューターを攻撃している。この数字は、昨年では2万5千台程度であった。企業コンピューターの58%が、少なくとも一度は悪意のあるソフトウェアの感染を目的とした(マルウェア感染)攻撃を行っているのだ。2014年は、この種の攻撃の割合は55%であった。企業コンピューターの29%が少なくとも一度はインターネットベースの攻撃を行ったということになる。同時に、これらのコンピューターの内41%が、USBデバイスやその他の物理デバイスにより感染した悪意のあるソフトウェアの攻撃に晒された。

■トルコはトップ15以内

個人を標的としたサイバー犯罪が銀行やクレジットカードの詐欺からインタラクティブ・バンキング詐欺まで拡大していることを発表したCSCトルコのアレヴ・アルプ・エセンゼネラルマネージャーは、以下のように話した。「企業を標的とした犯罪では、ITシステムに対して行われた犯罪がトップにきます。経済開発機構(OECD)が出した資料は、情報セキュリティーの問題を抱える企業の中で、トルコが世界各国の中でトップ15以内に入っていることを明らかにしました。有害なソフトウェアやソーシャルエンジニアリングによる攻撃だけでなく、ハッカー攻撃という形でも、実際にサイバー犯罪は市民から小売業、そして金融業界に至るまであらゆるセクターを脅かしているのです。」

■攻撃は継続した

トルコにおける銀行システムに対して一昨日から甚大な攻撃を行っているアノニマスは、昨日も攻撃を継続した。非常に多くの銀行のインターネットサイトやモバイルアプリケーションに対し、部分的にアクセスできない状態となった。銀行取引を行いたい利用者らの多くが、送金や手形決済の取引を行うことができなかった。

■メモ情報

5万
アノニマスがトルコで掌握したコンピューターの数

4
ゾンビ・コンピューターに関するトルコの世界における順位

100%
サイバー犯罪のここ1年での増加率

5万
2015年の企業コンピューターを対象とした攻撃数

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:39483 )