イスラエル:パレスチナ人とのラブストーリーを教科書から削除
2016年01月01日付 al-Hayat 紙
イスラエル右派(AFP)
■イスラエルでは、『かなわぬ恋』
【ナザレ:アスアド・タルハミー】
イスラエル右派を席巻している「ユダヤ性(ユダヤ人アイデンティティ)という妄想」が、また新たな「創造的発想」をもたらした。それは、高校修了試験の準備をしているユダヤ人学生に、ユダヤ人作家ドリト・ラビニヤンの小説を教材として教えることを禁止するというものである。ラビニヤン氏による『生きている壁』または『かなわぬ恋』と題されたこの小説は、ユダヤ人女性とパレスチナ人青年のラブストーリーであり、その関係性から見いだされる現実を描いたものである。そのような事態となったのは、アラブ人学生向けに祖国について教える教材として、民主主義の前に「国家のユダヤ性」をもってくる教科書が強制されてから一週間後のことである。教員たちによる諸団体は、この決定について、恐怖が健全な理論を打ち負かしたものとみなした。
抗議の嵐は静まらず、作家や教員団体、学校長や国会議員たちは、昨日(2015年12月31日)その小説を教材とすることを禁止する決定に対し「(その決定は)教育省にとって恥である」と表明しデモを行った。一方、教育省大臣で入植者たちの政党「ユダヤ人の家」党首ナフタリ・ベネット氏は、同小説をカリキュラムから削除するとの教育省幹部らによる決定を支持する声明をもって、反対する作家、教職員組織に対抗した。
教育省は「民族間における紛争の現状を鑑みると、国民感情を煽り、嫌悪感を燃え上がらせ、著者の望むものとは逆の結果をもたらす」ためにそのような決定をしたと主張し、同小説を「ユダヤ人アイデンティティを脅かす愛着関係を扱っているもの」と評した。
作品について、著者は「二つの異なるコミュニティ出身の二人の関係が、彼らを、以前の拒絶ではなく、互いの親近感へ導くということを描く試みである」と述べた。
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( 翻訳者:中本明花 )
( 記事ID:39529 )