コラム:米国にとって「ヌスラ戦線」は「ダーイシュ」より危険
2016年01月28日付 al-Hayat 紙
■米国にとって「ヌスラ戦線」は「ダーイシュ」より危険
【ドバイ:アフナーン・スマーディー】
米国政府は2012年12月に「ヌスラ戦線」をテロ組織に分類、シリア反体制派代表者及びシリア自由軍指導部はこれを拒否した。また2013年3月30日には、国連安保理で「シャームの人々のヌスラ戦線」を、「アルカーイダ」に関連する組織および個人を対象とする制裁リストに加えることが一致された。
アメリカ企業研究所(American Enterprise Institute: AEI)及び戦争学研究所(Institute for the Study of War: ISW)が発行した報告書では、シリアにおけるアルカーイダ支部と位置づけられるヌスラ戦線が、イラクとシャームの「イスラーム国」(ダーイシュ)よりも、長期的に見れば米国にとって危険であることに焦点を当て、米国の安全保障を取り巻く危険性について論じられている。報告書は、ダーイシュとヌスラ戦線を米国にとっての「現存する危機」とし、「ヌスラ戦線を度外視するあらゆる戦略は、米国の安全保障の維持に失敗する戦略となるだろう」と述べている。
報告書は次のとおり指摘する。「ダーイシュの方が有名になっているが、ダーイシュとヌスラ戦線はともに現存する脅威であり、いずれも世界のムスリムに対して米国を攻撃するよう動員を図っている。ヌスラ戦線はシリア国内に力を凝集させており、ダーイシュが倒れて今度は自らが国際戦争に乗り出す機会を待っている」。
報告書は各テロ集団の分類リストを掲載しており、そこではヌスラ戦線が、シリアにおけるアルカーイダの前線とされ、米国の安全保障にとって最も危険な存在だと述べられている。さらに報告書は、ダーイシュとヌスラ戦線による攻撃は世界経済を脅かし、西洋社会は市民に対する厳しい管理を敷いて諸々の権利を奪うことを余儀なくされ、その結果、米国の価値観とその生活様式を脅かすと加えた。
多くの人々は、ダーイシュとその類似組織、アルカーイダ関連組織、ヌスラ戦線、その他の武装勢力の識別に困惑している。少なくともアルカーイダの展開以降、この認識上の混乱は、強力なシステムに対抗するにあたり英雄としての役割を演じる必要性を信じている武装集団と、戦いを正当化する根拠としてのイスラームとの関係をどう理解すれば良いのかという難しさを引き起こしている。
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( 翻訳者:メディア翻訳アラビア語班 )
( 記事ID:39745 )