ヨーロッパ:欧州警察は1万人以上の難民の子どもが消息不明と発表
2016年01月31日付 al-Quds al-Arabi 紙
■欧州警察は1万人以上の難民の子どもが消息不明と発表、彼らの多くは売春・奴隷マフィアの支配下に
【マドリード:本紙、フサイン・マジュドゥービー】
シリア国内の悲劇的状況に注意が向けられ続ける一方、難民問題への取り組みの違いが原因で欧州連合(EU)でも政治的緊張が続いている。そして欧州警察「ユーロポール」は、また別の悲劇を明らかにした。1万人以上のシリア及び他の国籍の難民の子どもがヨーロッパの海岸にたどり着いてすぐに消えたというのだ。
難民の子どもに関する欧州警察の報告書はあらゆる面で恐ろしいものだ。今週末、イギリスやスペインのメディアにその一部が流出した報告書は、ヨーロッパ大陸にたどり着いた直後にヨーロッパ各国で何千もの子どもの消息が途絶えた衝撃について言及する。報告書は特に2015年のイタリアの事例に強く焦点を当てている。同国は、この数十年間で最大規模の海を越えての亡命あるいは移民現象(訳注:シリアからの人口流出を指す)において、何千人もの移民を日々受け入れていたとある。
欧州警察の調査は、1万人いた子どものうちイタリアでは合計約5千人が消息不明になったと指摘する。彼らは孤児、あるいは戦争で両親と離れた、単独でヨーロッパにたどり着いた子どもたちである。こうした子どもは保護施設や周知の場所に預けられるが、後に行方が分からなくなる。
同報告書は子どもらの消息に関して非常に懸念すべきデータを提示する。第一に考えられる消息は、それほどの懸念を招くことはない。非合法な手段で何千もの世帯が子どもを養子に迎えることが明らかになっているので、将来的に懸念は解消されるためである。これは、子どもたちが特別に保護の下で生活する家族を見つけたり、出生率の低さからヨーロッパの家族が海外から多くの子どもを養子に迎えたりすることを意味する。この状況においては、単に彼らの合法的な身分確定や登録がなされていないというだけである。
他方、二番目に考えられる消息が懸念を呼び起こす。(第一のケース以外で)行方不明となっている子どもたちは、犯罪組織の手に落ちたと考えられるからである。そのような組織は、子どもたちを欧州全土に送り、性産業や奴隷的な労働によって搾取しているのだ。
(後略)
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( 翻訳者:宮下優奈 )
( 記事ID:39790 )