■この夫婦は刑務所でどのようにバレンタインを祝ったか?
女性がバレンタインに夫からバラの花束をもらうことは珍しくない。しかし、カップルが別々の刑務所で数か月過ごした後、法廷拘置所で女性がバラをもらうというのはそうあることではない。
この夫妻は、ムハンマド・ハサナインさんとアーヤ・ヒガーズィーさんで、NGO組織「ビラーディー(祖国)」の創設者だ。「ビラーディー」は、カイロのストリートチルドレンを更生させ、教育することに取り組んでいる。この2人は中東で最も有名な囚人夫妻のうちの1組であり、児童を不適切に扱ったことに関する嫌疑をかけられ、その公判を待っている。なお、複数の活動家がこの嫌疑には正当な根拠がないと述べている。
「ワシントン・ポスト」誌が取り上げたこのニュースでは、ヒガーズィーさんが29歳になるエジプト系アメリカ人女性で、ヴァージニア州のジョージ・メイソン大で紛争解決の学位を取ったということに焦点があてられた。ヒガーズィーさんは、学業を終了した後「母国を助けるため」エジプトへ戻ることを決意したのだった。ハサナインさんも彼女と同じ価値観をもっていた。やがて恋におち、結婚に合意した二人は、伝統的で盛大な披露宴を行うのをやめ、その代わりに彼らの貯金を「ビラーディー」立ち上げに使うことにし、家族や友人に、結婚祝いをくれる代わりに立ち上げにかかわってほしいと呼びかけた。
夫妻の苦難の道のりは、2014年5月に「ビラーディー」本部に警察の強制捜査が入った時から始まった。この捜査は、行方不明の息子がカイロ中心部のタハリール広場付近にある「ビラーディー」本部に無理やり監禁されていたという、ある男性による警察への告発を受け、執り行われた。警察は令状なしで捜査を行い、アーヤさん、ムハンマドさん、児童17名、ボランティア2名を逮捕した。
二人は公判に先だち22か月以上拘束されていた。最近、25のNGO団体が、この夫婦に起きたことは「ボランティア活動を抑圧し続け、エジプトの若者や市民社会によるイニシアチブを壊滅させる行為」の典型例であるとする声明を発表した。
先週の土曜(13日)は、アーヤさん、ムハンマドさん及びボランティア2名の第4回公判の期日であり、ムハンマドさんが妻に会えなくなってから3か月が過ぎていた。法廷での再会の際、彼は妻のために本物のバラをかたどった紙の花束を持って行った。これは彼が監房で自ら用意していたものだ。ムハンマドさんがアーヤさんに花をあげている画像はエジプトのSNSを通じて大きく広まった。アーヤさんの兄弟であるバースィル・ヒガーズィーさんはこう語った。「2人がそれぞれの母親を通じプレゼントを贈りあうことはめずらしくありません。しかし、バレンタインに彼がアーヤに花を個人的に贈るのはこれが初めてです。普段は会えないから特にロマンチックなアイデアが浮かんだのでしょう。」
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( 翻訳者:増田まい )
( 記事ID:39860 )